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アフリカ豚熱の侵入警戒 釜山で拡大、水際対策強化


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 農林水産省は2日、感染すると家畜に甚大な被害を及ぼすアフリカ豚熱(ASF)が韓国・釜山で相次いで発生していることを受け、都道府県に水際での対策強化を呼びかけた。釜山とは日本各地の港が定期航路を結ぶ上、アジアで初めて発生した中国も今月10日に春節(旧正月)を迎え、感染した肉製品を旅行客が日本に持ち込む恐れがあることから、ウイルス侵入に警戒を強めている。
 アフリカ豚熱はブタやイノシシが感染して発熱などを引き起こす病気。致死率が高く、有効なワクチンや治療法が存在しない。アフリカや欧州に続き2018年8月に中国で発生して以降、アジアの19カ国・地域で感染が広がった。日本では発生がまだ確認されていない。韓国では19年9月に発生して以降、感染が拡大した。昨年12月に釜山で野生イノシシの感染が見つかり今年1月には日本に向かう旅客船ターミナルの近くで野生イノシシの感染が確認された。
 同省によると、釜山の定期旅客船が就航する港は大阪(大阪市)、下関(山口県下関市)、博多(福岡市)、比田勝(長崎県対馬市)の4港ある。これらの港や国際線が就航する空港で、濃度を上げた消毒液を活用したマットによる旅客の靴底の消毒を実施。釜山から訪れる船舶の全ての旅客に対して、持ち込みが禁止された肉製品や土が付いた靴を所持していないかどうかなどを口頭で質問している。
 新型コロナウイルス対策が和らぎ、今年は訪日客が増加しつつある。坂本哲志農相は2日の記者会見で「(アフリカ豚熱ウイルスは)侵入を一度許すと畜産業に壊滅的な被害が生じることになる」と述べ、関係者に衛生管理の徹底を求めた。