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バイデン氏 日鉄買収反対 USスチール 米鉄鋼労組「確約得た」


バイデン氏 日鉄買収反対 USスチール 米鉄鋼労組「確約得た」 米ペンシルベニア州にあるUSスチールの工場=2023年12月(AP=共同)
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 【ワシントン共同】全米鉄鋼労働組合(USW)は2日、同組合が反対する日本製鉄の米鉄鋼大手USスチール買収について「バイデン米大統領が背中を押してくれる確約を得た」との声明を発表した。大統領に買収を直接阻止する権限はないものの、買収実現に向けた逆風が強まる可能性がある。
 USスチールの買収を巡っては、トランプ前大統領も「私なら即座に阻止する」と述べている。11月の大統領選を控え、買収案件が政治問題として浮上。対米外国投資委員会(CFIUS)が担うとみられる審査への注目度が高まりそうだ。USWは会長名の声明で「鉄鋼は国家安全保障と重要インフラに不可欠だ」と主張。日鉄の提案が「組合員と国の利益を危険にさらすものだ」と訴えた。その上で、バイデン氏から、計画に反対するとの見解を個人的に得たと明らかにした。
 日鉄は昨年12月、約141億ドル(約2兆円)を投じてUSスチールを完全子会社化する方針を公表した。バイデン政権は「精査に値する」との声明を出し、慎重に検討する姿勢を強調。トランプ氏は今年1月末、労組関係者との会談後、大統領に返り咲けば日鉄による買収を「絶対」に阻止すると述べた。
 バイデン政権は1月26日に液化天然ガス(LNG)の輸出許可を新たに出すことを一時的に停止すると発表。大統領選で争点の一つになる環境問題への積極姿勢を示したと受け止められており、政治的な駆け引きが経済分野にも広がっている。

米ペンシルベニア州にあるUSスチールの工場=2023年12月(AP=共同)