有料

漏えい罰則2段階 経済安保 特定秘密法と新法で


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 経済安全保障に関わる国家機密の取り扱いを有資格者に限る新たな「セキュリティー・クリアランス」制度を巡り、政府が機密情報の重要度に応じ、漏えいした場合の罰則を2段階で設けることが5日、関係者への取材で分かった。機密性の特に高い情報を漏らした場合は、既存の特定秘密保護法を適用して懲役10年以下の罰則を科す。それ以外は今国会に提出する新法で網をかけ、最長5年の拘禁刑などを科す。
 新法案の名称は「重要経済安保情報の保護・活用法案」(仮称)。新制度は国家公務員のほかに民間企業や従業員らも対象となり、機密情報にアクセスできる人の身辺を政府が調査して、国家機密を取り扱う資格を与えるかどうか判断する。人工知能(AI)やサイバー分野などで軍事用と民生用の線引きが難しくなっており、特定秘密保護法と一体的に運用する。恣意(しい)的な情報指定の防止や、身辺調査で把握した個人情報の厳格な管理が政府の課題となる。
 日本の特定秘密保護法が外交、防衛、テロ防止、スパイ防止の4分野の機密情報に限定しているのに対し、欧米各国のセキュリティー・クリアランス制度は、経済分野を含む重要な安保情報全般を規制している。このため、政府は経済安保も対象に加えることにした。
 政府は、漏えいすると安保に「著しい支障」が生じる恐れのある経済分野の情報を機密性の特に高い「特定秘密」と定め、特定秘密保護法を適用する方針だ。新法では安保に「支障」を与える恐れのある情報を「重要経済安保情報」に指定し、有資格者が漏らした場合、最長5年の拘禁刑か最高500万円の罰金刑のどちらか一方、もしくは両方を科す。企業への罰則も検討する。