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「政治的動き止める」/日鉄副社長 USスチール買収で


「政治的動き止める」/日鉄副社長 USスチール買収で USスチール買収を巡る経過
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 日本製鉄の森高弘副社長は7日にオンラインで開いた決算記者会見で、米鉄鋼大手USスチールの買収方針にトランプ前大統領などが反対を表明したことについて「両国にとってメリットのある案件を、政治の思惑だけでブロックすることはできない」とけん制した。USスチールの買収を完了させる当初の予定は「全く変更する必要はない」と強調。今年9月までに買収手続きを終えたいとの意向を示した。

 買収には全米鉄鋼労働組合(USW)も反発しており逆風が強い。森氏は、USWとは「対話を通じて一致点を見つけることは十分可能」と指摘。できるだけ早く合意を取り付け「政治的な動きにストップをかけることが重要だ」と訴えた。
 トランプ氏は1月31日に今回の買収に触れ「私なら即座に阻止する。絶対だ」と述べた。森氏はトランプ氏に関し「取引の内容を十分理解して発言しているかどうかは疑問だ。米国の産業に貢献できる取引だと理解すれば、意見も変わると思う」と述べた。
 11月に米大統領選が控える中、一部の米メディアはこれまでに、買収審査の完了が2025年になる可能性があると報じた。
 さらに今月2日には、USWが「バイデン大統領が背中を押してくれる確約を得た」との声明を発表するなど、買収の行方は見通しづらい。
 森氏は、米国内の反発は「想定内の反応だ」と指摘。今後、米当局の審査を通じ「国防上問題ないことがクリアに分かる」との認識を示した。日鉄は昨年12月、約141億ドル(約2兆円)でUSスチールを買収し完全子会社化すると発表した。