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23年経常黒字倍増 20.6兆円、旅行収支最大


23年経常黒字倍増 20.6兆円、旅行収支最大 経常収支の推移
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 財務省が8日発表した2023年の国際収支速報によると、海外とのモノやサービス、投資の取引状況を示す経常収支の黒字額は20兆6295億円だった。前年比92・5%増となり、ほぼ倍増した。訪日客の急増で、サービス収支に含まれる旅行収支の黒字額が比較可能な1996年以降で最大を記録したことなどが要因だ。経常黒字の拡大は2年ぶりとなる。
 資源高が一服して原油などの輸入額が減り、貿易赤字が大きく縮小したことも経常収支の黒字額を押し上げた。SMBC日興証券の宮前耕也シニアエコノミストは24年の見通しについて、原油価格下落や訪日客の消費拡大が続くとして「経常黒字は23兆円前後に拡大する」と話す。
 輸出から輸入を差し引いた貿易収支の赤字額は57・9%減の6兆6290億円。輸出は1・5%増の100兆2743億円で、初めて100兆円を超えた。半導体不足の緩和を受け自動車が伸びた。輸入は原油や石炭が減少し、6・6%減の106兆9032億円。
 サービス収支全体は3兆2026億円の赤字だが、赤字幅は前年から大幅に縮小した。訪日客が日本で使った消費額から日本人が海外旅行で消費した金額を引いた旅行収支の黒字額が大きく伸びたためで、前年に比べ約5・5倍の3兆4037億円に上った。