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建設現場賃上げ 国が主導 法改正案 目安設定、違反に勧告


建設現場賃上げ 国が主導 法改正案 目安設定、違反に勧告 建設労働者の人件費イメージ
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 建設労働者の賃金を適正化し、引き上げを目指す関連法改正案が9日、判明した。民間工事の現場で働く人の人件費について、国が標準とすべき目安を設定。発注者が人件費を不当に低く変更するよう請負業者に求める行為を禁じ、違反した場合は国や都道府県が勧告し、社名を公表する。政府は3月上旬に閣議決定し、今国会での成立を目指す。
 建設現場は担い手不足が深刻化。4月からは物流業界と同様、時間外労働の上限規制が適用され、工事が滞ったり、物件価格が高騰したりする「2024年問題」が懸念されている。景気回復や相次ぐ自然災害で工事の需要が高まる中、処遇改善を通じて新規の就業を促す。
 建設業界は元請け、1次下請け、2次下請けに仕事が流れる多重構造が特徴となっている。請負業者は受注競争に負けないよう、請負代金を抑えるため人件費を削りやすい。このため建設業法などを改正し、現場で働く人の賃金が減らされない仕組みにする。
 具体的には、鉄筋工やとび職などの技能労働者が受け取るべき賃金相場を考慮した「標準労務費」を国が示す。請負業者には、これを踏まえた見積書の作成を促す。発注者には見積書の人件費を不当に安くさせて契約することを禁止。罰則は設けないが、勧告・公表制度で実効性を高める。
 資材値上がりは適正に価格転嫁し、人件費へのしわ寄せを防ぐ。受注者は契約前に、資材高騰など想定される情報を発注者に提供し、代金や工期の変更ルールを明確にしておく。発注者には変更協議に誠実に応じる努力義務を課す。