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鉄鋼大手 月3万円提示 春闘で先陣、重工1万8000円


鉄鋼大手 月3万円提示 春闘で先陣、重工1万8000円 春闘の要求書を経営側に提出する川崎重工労組の浜田圭中央執行委員長(左)=9日午後、東京都港区
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 今春闘で、連合傘下の基幹労連に加盟する鉄鋼と重工大手の労働組合が9日、一斉に要求書を経営側に提出した。主要製造業の先陣を切り、歴史的な物価高が続く中で賃上げの相場形成を担う。鉄鋼大手は基本給を底上げするベースアップ(ベア)相当の賃金改善分として、前回を大きく上回る月額3万円を提示しており、こうした流れが中小企業に波及するかどうかが焦点となる。
 鉄鋼大手の日本製鉄とJFEスチール、神戸製鋼所の3社は2年に1度の賃金交渉が慣例で、前回2022年時の要求は月額3500円だった。それから急速に進んだ物価上昇に追い付く賃金を確保するため、高い要求で臨む。鉄鋼は25年春も連続して交渉すると決めた。
 重工大手の三菱重工業と川崎重工業、IHIの3社労組は、いずれもベア月額1万8千円を掲げた。IHIは要求額として47年ぶりの高水準となる。三菱重工の労組は年間一時金(ボーナス)として6・5カ月(約243万7千円に相当)分を要求した。
 日本製鉄労働組合連合会の幸野直通会長は「激しさを増す人材獲得競争を勝ち抜くためには、魅力ある労働条件の構築は極めて重要だ」と強調した。川崎重工労働組合の浜田圭中央執行委員長は「物価の上昇は続いており、このままでは生活の質を維持することは不可能だ」と訴えた。
 来週はトヨタ自動車やホンダといった完成車メーカーと電機大手の労組も要求書を提出し、賃上げ交渉が本格化する。