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トランプ氏反対 政治案件に発展 日鉄のUSスチール買収 全米労組賛成なら前進


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日本製鉄による米鉄鋼大手USスチールの買収は、トランプ前米大統領の反対表明で不透明感が強まってきた。今後は政治的な配慮などで、米当局の審査が長期化する懸念も出ている。専門家は「(買収方針に)反発する全米鉄鋼労働組合(USW)が賛成に転じれば大きく前進する」との見方を示す。大和証券の尾崎慎一郎シニアアナリストは、11月に米大統領選を控えた中でのトランプ氏らの言動を巡り「現在は票田であるUSWに寄り添った対応だ。USWが賛成に転じれば候補者が反対するインセンティブは低下する」と話す。USWが2月に日鉄と秘密保持契約を結んだことは「対話のテーブルに乗ろうとしている」と指摘。その上で「買収が損な話ではないと理解しているはず。条件闘争のような側面がある」とし期限内に買収合意に至る可能性があるとみる。尾崎氏は労組の反対姿勢が当局の審査に影響するのを避けるため早期に着地点を見いだすべきだと指摘した。