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東証株価4万円 市場、未知の領域へ 先行きに強気と不安   


東証株価4万円 市場、未知の領域へ 先行きに強気と不安    日経平均株価の上昇業種と要因
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 日経平均株価が史上初めて4万円の大台を突破した。半導体関連株が主導する過熱相場は続き、市場はかつてバブル経済期にも到達できなかった未知の領域に踏み込んだ。上昇基調は業種を横断して広がる兆候を見せるが、株価の先行きには強気と不安がせめぎ合う。 (1面に関連)

空前の活況
 「積み立てていた投資信託の含み益が100万円単位になった」。東京都内に住む40代の男性会社員は、驚いた様子で話す。売却して話題の半導体株に乗り換えようとも考えたが、急騰した分、手を出した途端に「値下がりするのが怖い」という。
 東京株式市場では今、半導体株が空前の活況を迎えている。昨年末からわずか2カ月余りで、製造装置の東京エレクトロンや検査装置のアドバンテストの株価は50%以上も上がった。
 背景にあるのは、先端半導体が不可欠な生成人工知能(AI)への期待だ。電子情報技術産業協会(JEITA)によると世界の生成AI需要は2030年に2110億ドル(約31兆円)となり、23年の約20倍に拡大する見通しという。
 AI特需に沸く米国市場では、世界的メーカーのエヌビディアの株価が今年に入って60%超上昇。時価総額も米企業で3社目となる2兆ドル(約300兆円)の大台を超えた。

うねり
 半導体株高の波は東京市場の他の業種にも及ぶ兆しがある。その一つが銀行株。日銀が今春マイナス金利の解除に動くとの見方が支えだ。不動産株や小売株も、歴史的な物価高という逆風にもかかわらず、経済がデフレを脱却すれば需要も回復するとの見込みを支えに底堅い動きとなっている。
 ただ相場のうねりを経験してきた市場関係者には、年初からほぼ一本調子で駆け上がる株価への懸念が日増しに募る。楽観的とも思える強気ムードに「論理的な説明ができない」(資産運用会社)との声も出始めた。
 バブル期から市場に関わる野村証券の神谷和男ストラテジストは「本来上昇と下落を繰り返す株価の動きが、今は悪くても横ばいにしかならない。投資家の買い意欲は旺盛だが、予想を裏切るような悪材料が出た場合の反転リスクには注意が必要だ」と話す。