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若者取り込み回復軌道へ ミスタードーナツ 5年ぶり1000店 脱価格競争、商品開発に注力


若者取り込み回復軌道へ ミスタードーナツ 5年ぶり1000店 脱価格競争、商品開発に注力 ミスタードーナツの国内店舗数
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 ミスタードーナツの業績が回復している。2010年代に不採算店舗の閉店が相次ぎ一時は約3割減となったが、24年3月期は5年ぶりに千店に乗せた。事業を統括するダスキン最高執行責任者(COO)の和田哲也氏(62)がインタビューに応じ、価格競争から転換し「若年層に焦点を当てた商品開発や店舗運営が実を結んでいる」と語った。

 違い出せず

 「われわれは老舗ではなく常に新しいブランドになっていく必要がある」。10~20代の取り込みを重視する理由について和田氏はこう強調した。
 この10年の国内店舗数は14年3月期の1350店から年々減少し、21年3月期は961店だった。その後増加に転じ24年3月期は1017店まで回復した。
 低迷の要因について「外食業界が価格競争に入って違いを出せなくなっていた」との見解を示した。ミスタードーナツも100円均一といったセールで訴求したが「新しい価値を創造できなければ飽きられてしまう」と振り返った。

 転換

 付加価値の創出に向けて16年に打ち出したのが若年層の強化だった。それまでの来店客は30~40代が中心で「昔懐かしいお店というイメージ」になっていた。
 購買層が変わらない課題は以前から抱えており、低迷を機に戦略の転換に踏み出した。
 商品開発では宇治茶専門店「祇園辻利(ぎおんつじり)」など他社と連携した「misdo meets(ミスド ミーツ)」シリーズを展開。軽食需要に応える「ミスドゴハン」シリーズも開始した。
 店舗は黒を基調としたおしゃれで清潔感のあるデザインへの改装を進めた。ネット注文システムの強化や宅配サービスの拡大にも注力している。

 シェア8割

 ミスタードーナツはダスキンが1971年、大阪府箕面市に1号店をオープンした。市場シェアの8割を超える中「ドーナツという商材を1社で広げるのは本当に難しい」と繰り返した。
 2014年以降コンビニ大手の参入が相次いだが「競合が入ってマーケットが広がることはポジティブに受け止めていた」と話した。
 新型コロナウイルス禍ではドーナツのショーケースに扉を付けるなど衛生管理を徹底した。持ち帰り需要の高まりも追い風となった。
 和田氏は1986年の入社以来、店舗運営や商品開発、海外展開など長くミスタードーナツに携わってきた。「事業環境の変化に一喜一憂せず、おいしいドーナツをお届けすることを愚直にやり続ける」と意気込んだ。