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自動搬送技術、開発加速 医療従事者の負担軽減も


自動搬送技術、開発加速 医療従事者の負担軽減も スズキが新興企業と共同開発した自動配送ロボット=9月、東京都江東区
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 人材不足が深刻な物流事業を支えようと、国内メーカーが多様な現場で活用できる自動搬送技術の開発を加速させている。スズキは車輪とモーターなどで構成するシンプルな車両を提案。自動運転機能に加え、荷物を積む部分である「上物」を用途に合わせ自由に設計できるのが特長で、幅広い顧客の獲得を目指す。
 スズキが開発したのは「電動モビリティベースユニット」。上物や自動運転システムとの組み合わせで、建設現場や雪道など過酷な環境下でも自律走行できる。このユニットを基に、新興企業と自動配送ロボットを開発、2025年から本格展開する。スズキは「工場などの省人化に伴い、あらゆるロボットの足になれば」と期待する。生かしたのは、開発開始から約50年がたつ電動車いすの技術。今後は双方の部品を共通化しコスト削減につなげる考え。
 ヤマハ発動機のグループ会社「イヴオートノミー」(静岡)は特定条件下で無人運転が可能な「レベル4」の自動運転車両を展開。周囲の安全に配慮しながら最大1・5トンの大きな荷物をけん引して届けることができ、既に約40社が物流倉庫や工場で活用している。9月に羽田空港近くにショールームを開設し、さらなる導入拡大を目指す。
 川崎重工業は、病院で薬剤や検体を運ぶロボットを開発。ドアの開閉やベッドの有無など病院特有の環境でも対応できる。4月には藤田医科大病院(愛知県豊明市)が本格導入した。ロボット1台で配送係3人が別業務に従事できるといい、働き方改革が課題となっている医療従事者の負担軽減が期待される。