首相補佐官が便宜約束か Jパワーの内部文書に書かれていたことは


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和泉洋人首相補佐官の発言などをまとめたJパワーの内部文書

 高江のヘリパッド建設に関するJパワーの内部文書によると、和泉洋人首相補佐官は、2016年9月14日に北村雅良・Jパワー会長を首相官邸に呼び、「反対派の活動もかなりのもので、あと3カ月で完成させるには、JPから建屋、水、燃料タンク等の協力を得たい」と協力を求めた。

 Jパワー側は当初、担当者が「中立を守りたい」とヘリパッド建設への協力を拒否していたが、和泉首相補佐官は「国が米国との関係で急いでいる事業と受け止めて協力してほしい。中立とか言うのは勘弁してください」と発言。その上で、「官邸で官房長官直結で私が仕切っており、一省庁の問題ではなく、国の問題」と、Jパワーに協力を迫った。これに対し、北村会長は「国の強い要請と受け止めるし(中略)、社長に協力する方向で話す」と応じた。

 和泉補佐官の発言には「反対は活動家だけ」などと県民世論に対する誤認識が際立つ内容も確認された。また、高江のヘリパッド工事を巡る県の立ち位置に関する記述もあった。文書によると、和泉補佐官は「沖縄県も『歓迎』とは言わないが、水面下では本件はやってくれ、となっている」と発言したとされる。

 官邸側がJパワーに対し、県側の同意も取り付けていることを理由に挙げ、協力を促した形だ。しかし当時の翁長県政と官邸の水面下のやりとりを知る県関係者は「県政の方針通り、確かに辺野古移設以外のSACO合意に関しては基本的に容認するという立場は伝えたが、『やってくれ』とは伝えていない。官邸が都合良く解釈したのではないか」と反論した。