1カ月の残業100時間超 延べ810人 過労死ライン超は2329人 沖縄の小中教員


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 沖縄県内の公立小中学校で月100時間を超える残業をした教員が2018年度に少なくとも延べ810人いたことが29日までに、琉球新報が実施した市町村教育委員会へのアンケート調査で分かった。「過労死ライン」とされる80時間超は少なくとも延べ2329人だった。アンケートは41市町村のうち38市町村が回答したが、残業時間を把握するシステムがないなどの理由で無回答とする市町村もあり、実態はさらに多いとみられる。

 教員数に不足感があるか聞いた質問では、全体の78%に当たる32市町村が小学校について「かなりある」「ややある」と回答した。中学校は68%に当たる28市町村が「かなりある」「ややある」と回答し、小中学校ともに教員数の不足が深刻になっている現状も明らかになった。

 小学校で100時間超の残業が最も多かったのは那覇市で122人。次いで浦添市34人、南風原町26人、豊見城市13人と多かった。中学校で最も多かったのは那覇市の217人で、糸満市162人(2018年6月~19年3月の集計)、浦添市119人、南風原町46人と続いた。

 小学校における80時間超の残業は那覇市473人、浦添市180人、南風原町116人の順で多かった。中学校は那覇市525人、浦添市313人、糸満市162人(18年6月~19年3月の集計)の順で多かった。

 長時間労働となる主な理由(複数回答)は、小学校が「授業準備」が最も多く31市町村。「事務作業や報告書作成」が24市町村、「学校行事」が17市町村と続いた。中学校は「部活動」と「授業準備」が同数で29市町村、「事務作業や報告書作成」22市町村、「学校行事」16市町村と続いた。その他の理由として、小学校では「地域行事への参加」、中学校では「生徒指導」などを挙げる市町村もあった。

 タイムカードまたはICカードなどで客観的に勤務時間を把握していたのは21市町村だった。その他は教員自身がエクセルデータに記入したり、出勤簿に押印したりする方法で勤怠を管理していた。

 学校関係者や識者は、長時間労働の背景に業務の多忙さなどを挙げつつ、教職員定数改善の必要性を訴えている。
 (稲福政俊)


<アンケートの方法>
 アンケートは11月下旬にファクスで41市町村の教育委員会に配布。今月29日までに38市町村から回答を得た。