偽情報のファクトチェック 総務省が最終報告案「民間で推進」


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 【東京】選挙や災害時のデマなど偽情報(フェイクニュース)への対策を議論している総務省の有識者会議「プラットフォームサービスに関する研究会」(座長・宍戸常寿東京大大学院教授)がこのほど、民間の自主的な取り組みを推進していくべきだとする最終報告書案をまとめた。「政府介入は極めて慎重であるべき」だと付言しながらも、政府の一定関与の余地を残した。ファクトチェック(事実検証)活性化のための環境整備推進も盛り込んだ。1月20日まで報告書案に対する意見を募り、それを踏まえ正式に報告書を策定する。

 会員制交流サイト(SNS)などを運用するプラットホーム事業者に対しては、国内外の事業者と政府、関係者でつくるフォーラムを設置し、取り組みの進捗(しんちょく)を共有して検討を継続させる。民間の取り組みは尊重しながら、効果が出ない場合は「政府として一定の関与を行うことも考えられる」と政府関与の可能性の余地を残した。

 ファクトチェックの現状について日本では「持続可能なファクトチェックの事業モデルが存在せず、社会的認知度や理解度が不足している」と課題を指摘した。

 欧米諸国で偽情報が問題化していて対策も積極的に進んでいる現状も紹介。欧州や東南アジアの一部で偽情報規制の法律もできているが、表現の自由への懸念との兼ね合いに議論もあることも指摘している。

 最終報告書案は、偽情報への対策のほか、利用者情報の適切な取り扱いに向けては国外事業者に日本の国内法の規律が及ぶよう必要な措置を取ることを記した。ネット利用者の本人確認やデータ改ざん防止などの仕組みの「トラストサービス」については、国の認定制度の創設を明記した。