一括交付金に「効果」 新春インタビュー②衛藤晟一沖縄担当相


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―2021年度で期限を迎える沖縄振興計画について評価や継続の是非は。

 「沖縄が日本に復帰した1972年は、本土では高度経済成長が終わるころだった。当時の(沖縄の)経済の在り方を見ると基地経済、輸入経済で成り立っていた。それを脱却すべく、遅れていたインフラ整備に第1次~3次振計まで頑張ってきた。現在、検証を専門家にお任せしているが、みんなで頑張ってきた成果が出ている」

 「離島や北部地域(の振興)には問題がある。製造業関係を諦めたような感じもあるが、本土並みの20%まではいかなくとも、10%くらいまで伸ばすとか、いろんな展開があり得る」

―一括交付金は減額が続くが、評価や課題は。

 「(役割は)とても大きい。国と県が一体となって沖縄の振興計画を支えてきたもとだ。沖縄に行くと産業構造の転換が起ころうとしていると感じるが、(一括交付金の)投資(の効果)だと思う」

 「緊急時の対応に関しては市町村からの要望も極めてたくさんきており、沖縄振興特定事業推進費で対応していく」

―首里城再建に向けた工程をどう描くか。

 「関係閣僚会議で(焼失前の)首里城の原形復帰を目指すことを基本にすることが決まった。これまで集めてきた資料は相当有効に使えると思う。今後、専門の方々の意見を十分に聞いてスタートしたい」

 「建築中も(見られるように)しなければ首里城から(観光客が)離れてしまうように思う。周囲のグスクを回ってもらうことも一案だが、メインは首里城だ。首里城に来てもらうにはどうすべきか本気で知恵を絞らなければいけない」

―那覇空港第2滑走路が3月に運用を始める。期待や混雑悪化の対応策は。

 「(滑走路の年間処理容量は)現在の13万5千回から24万回まで増える。物流面でも海と空(の連携が強まり)周辺は変わっていくと思う。観光客増加には交通基盤整備を進めてきた。ゆいレールの早期3両化にも取り組むなど準備を尽くしてきた」

 「てだこ浦西駅周辺では、沖縄自動車道と浦添西原線、ゆいレールの結節を図るため、インターチェンジやパーク&ライドのための駐車場整備等を行うこととしており、ハード交付金を活用するなどして一部事業に着手している」

―今年も米軍による事件事故が相次いだ。振興に与える影響をどう見るか。

 「安心安全は確保されるべきで、こういうことはあってはならない。われわれとしても青パトやタクシーによるパトロールなどで頑張っている。(政府としても米側に)厳しく申し入れている。非常に残念だ」

 (聞き手 知念征尚)

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設は、昨年2月に埋め立ての賛否を問う県民投票が実施され、投票総数の7割が「反対」の意思を示したにもかかわらず、政府は工事を継続し、2019年も県と国は法廷闘争を繰り広げた。一方、昨年10月に全焼した首里城の復興を巡っては、県と国が早期再建で一致。双方連携し再建のスケジュールを検討しており、対立と連携のはざまで新年も重大な局面が続きそうだ。あと2年で期限切れを迎える現行の沖縄振興計画の次期計画を見据え、2020年は沖縄振興の今後の在り方がこれまで以上に議論されるとみられる。2020年の展望などについて衛藤晟一沖縄担当相に聞いた。