辺野古移設「早急に」 新春インタビュー③河野太郎防衛相


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―防衛相として沖縄政策を進める上で感じること、課題は何か。

 「中国公船の活動が尖閣諸島を中心に非常に活発になっている。中国の航空機に対する自衛隊のスクランブルは年間600回を超える大変厳しい状況で、南西諸島の防衛は非常に切迫感のある状況だ。南西諸島の空白に自衛隊部隊を配置させていただくことが大きな課題であることは引き続き変わらない」

―米軍普天間飛行場の移設に伴う辺野古への土砂投入から1年が過ぎたが、地元の反対は強い。

 「沖縄の負担軽減は安倍政権でも優先順位の高い案件だし、米軍普天間飛行場の危険性除去は早くやらなくてはいけない。これは沖縄県民の皆さんとも共通の認識だ。南西諸島を守るため、在日米軍の即応性を維持しながら辺野古に移転することは進めていかなければいけない。県民のご理解をいただきながら着実かつ早急に進めたい」

―軟弱地盤の改良工事について県への変更申請のめどは。

 「ごく普遍的な工事で(地盤改良が)できるということなので、なるべく早い段階で(玉城デニー知事に)変更の承認をやっていただけるように、我々もしっかり必要なものを整えてお願いしていきたい」

―在日米軍の即応性維持と地元の理解をどう両立させるか。

 「防衛相就任以来、エスパー国防長官、デービッドソン・インド太平洋軍司令官、シュナイダー在日米軍司令官のそれぞれに、安定した駐留のために米軍の安全な運用と地元の理解が不可欠だと繰り返し申し上げている。何かあったときの対応は前に比べスムーズになってきたと思う」

―外相時代には基地外での米軍機事故発生時のガイドライン改正に関わった。日米地位協定の運用について、防衛省の立場から課題や改善点はあるか。

 「ガイドライン改正は日米のお互いの信頼関係の中でかなりスムーズにやれた。例えば嘉手納基地内でのパラシュート降下訓練の問題も、伊江島の天候が悪い中でもやれるような大型の救助艇の購入とか、米軍もそういう意味では対応してきてくれている。一番的確に、スムーズにできる方法で課題を一つ一つクリアしていきたい」

―自衛隊施設と米軍基地の共同使用を進める方針がこれまで日米間で確認されている。必要性をどう考えるか。

 「共同使用については2プラス2(日米安全保障協議委員会)などでもテーブルに乗っているが、防衛協力の一つのテーマだ。沖縄地域ではまだ具体的に何かというものはないが、米軍の即応性維持、あるいは自衛隊との連携を考えると、議論していく必要は全国的にある」 

(聞き手 當山幸都)

 米軍普天間飛行場の移設に伴う名護市辺野古の新基地建設は、昨年2月に埋め立ての賛否を問う県民投票が実施され、投票総数の7割が「反対」の意思を示したにもかかわらず、政府は工事を継続し、2019年も県と国は法廷闘争を繰り広げた。一方、昨年10月に全焼した首里城の復興を巡っては、県と国が早期再建で一致。双方連携し再建のスケジュールを検討しており、対立と連携のはざまで新年も重大な局面が続きそうだ。あと2年で期限切れを迎える現行の沖縄振興計画の次期計画を見据え、2020年は沖縄振興の今後の在り方がこれまで以上に議論されるとみられる。2020年の展望などについて河野太郎防衛相に聞いた。