減収世帯に特例貸付 申し込み爆増、財源は底突く


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 新型コロナウイルスの影響で収入が減った世帯を対象にした厚生労働省の特例貸付事業への申し込みが急増している。申し込みが始まった3月25日から22日までに県内で2282件、3億8000万円を貸し付けた。取りまとめる県社協によると、この事業に充てる国からの財源は既に底を突き、県を通して追加の財源確保を要求しているという。

 特例事業は従来の生活福祉資金貸し付け制度の要件を緩和して所得制限をなくし、保証人も利子も不要。一時的な生計維持のための「緊急小口資金」は上限10万円、臨時休校になった子どもの世話が必要な場合は20万円までを貸し付ける。生活再建までに必要な生活費のための「総合支援資金」は2人以上の世帯では20万円を3カ月間が上限となる。

 県社協によると、3月25日には28件だった申請は4月に入って急増。中旬には1日に100件を超す日もあり、23日には320件に達した。

 書類に不備がなければ申請の2日後には送金が可能で、これまでに申請が通らなかったのは新型コロナウイルス感染症の影響とは判断されなかった1件だけだという。

 窓口となる市町村社協には通常の数十倍もの相談が殺到し「他課から応援に来てもらっているが対応しきれない」(沖縄市)、「相談が多すぎて予約制に切り替えた」(糸満市)と対応に追われる。

 相談者は20代から70代と幅広く、観光業や飲食業のほかタクシーや運転代行に携わる人が目立つという。「出勤停止になって生活に不安がある」(南城市)、「収入が半分以下になった」(豊見城市)などの切実な声が集まる一方「返済しなければならないので考え直す」という人もいるという。

 宮古島市の担当者は「生活保護や他の支援もあるので、いつでも相談に来てほしい」と呼び掛けた。

 申し込みは市町村社協。基本的な問い合わせは厚生労働省のコールセンター(電話)0120(46)1999、土日・祝日含む午前9時から午後9時まで。

 相談や申請に迅速に対応するため、国は30日から全国の労働金庫でも申請受け付けを開始できるよう調整している。