「明日食べるものがない」 瀬戸際の相談者、特例貸付窓口に殺到


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緊急小口資金貸し付けの申請手続きをする相談者(手前)。職員は飛まつ防止の仕切りを設置して対応している=24日、那覇市金城の市社会福祉協議会

 「明日食べるものがない」。「緊急小口資金」の貸し付けが始まって以降、那覇市社会福祉協議会には切実な相談や申請が殺到している。24日に申請に訪れた人々からは「貯金が底を突く」「どん底の生活」といった苦しい声が聞かれた。

 同市社協では会議室も使い、六つの窓口を設置した。応援の職員も含め約20人で対応に当たる。申請手続きは予約制だ。午前9時から午後5時まで1日に約50人が訪れる。職員が足りず、約1カ月先まで予約が埋まっている。朝からキャンセル待ちする人もいる。これまでに受け付けた申請は約600件。相談の電話も朝から鳴りやまず、1日約100件に上る。

 同社協の真栄城孝地域福祉課長は「2009年のリーマン・ショックの時もこれほどではなかった。かつてない状況だ」と驚く。「緊急貸し付けなのに手続きに時間がかかっているが、職員もぎりぎりの態勢でやっている。いつまで続くのか不安だ」と苦しい胸の内を明かす。

 相談者の職種はホテルや飲食店、タクシー運転手などだ。就職が内定していたが取り消された人もいる。

 24日に手続きに訪れた65歳の女性はフリーランスのツアーガイドだ。2月から5月までの仕事は全てキャンセルされた。「貯金もそろそろ底を突く。国の給付金を待っていられない」と顔を曇らせた。

 この日、最後に手続きしたのはタクシー乗務員の男性(55)。国が東京都などに緊急事態宣言を出した後、乗客が減り「10~12時間働いても日当は2、3千円」という状況に陥った。県独自の緊急事態宣言を機に会社から「5月6日まで休んでくれ」と言われたが、給料がどの程度払われるのかは分からない。息子はまだ高校1年生。社協に寄贈されたお菓子を職員から受け取り「早めに(振り込みを)お願いします」と念を押して去っていった。