軍属や家族 検疫対象に/山本章子琉大准教授
日米地位協定9条は米軍関係者への検疫を免除している。軍隊内で厳しい検疫を受ける兵士のみならず、軍属や家族も適用対象外に含めていることが問題だ。全ての米軍関係者に日本の検疫を適用させることが理想だが、せめて軍属や家族には日本の検疫を適用できるよう協定の運用を改善すべきだ。
兵士は任務上、緊急の渡航が想定されるため、日本の検疫適用について米軍は強く抵抗するだろう。一方で軍属や家族に日本の検疫対象とするように運用を見直すのは受け入れられやすい。今すぐできることに取り組むことが大切だ。
入国する米軍関係者の2週間隔離は、日本の外務省が要請した。その際、基地内で収めることや住民と接触しないことを求めるなど細かい点も調整が必要だった。
それができていなかったため、北谷町のホテルを借り上げて入国者を隔離させ問題となった。外務省は沖縄事務所を構えているのだから、本来は県や北谷町と米軍の間に入って米軍と交渉すべきだった。 (国際政治史、談)
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県、出入域管理が必要/前泊博盛沖国大教授
東京都のように若者たちや無症状の人たちが動き回って感染を広げる事例が米軍に出てきているのではないか。米軍が情報を開示しない限り、全基地のロックダウン(封鎖)を求めるのが当然だ。
日米地位協定を変え、日本国の検疫を適用できるようにすべきだ。対症療法ではいかにでも抜け道をつくってしまうので、これを機にきちんと日本側で管理できるようにした方がいい。
せめてフェンスの外に出る時には、沖縄県が管理できる仕組みをつくることが大事だ。県は強い姿勢で条例を作るなどし、観光客と同じように出入域を管理すべきだ。
今は、見えない共通の敵としてウイルスに立ち向かうべきなのに、軍の論理を振りかざして情報を出さない米軍を信頼すべきではない。一方で、ステーシー・クラーディー在沖米四軍調整官が県による感染者数公表を了承したことは評価してもいい。ただ、基地ごとに権限が司令官に与えられており、全ての基地が全ての感染を公表しているとも限らない。 (安全保障論、談)