「陰性証明」増える需要に追いつかず 海外渡航に必要、県内のPCR検査体制弱く


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 海外渡航を目的に新型コロナウイルスの陰性証明書(非感染証明書)を必要とする沖縄県民が増加している。しかし、県内で陰性確認のためのPCR検査を受けられる場所が少なく、同証明書の取得に困るケースが多い。那覇検疫所は3月20日から、海外渡航のために必要な人を対象に同検査と同証明書の発行を実施する。現時点で需要が少ないことや、業務が多忙になる恐れがあることなどを理由に、積極的な周知をしていない。実施した検査件数は6月末時点で約10件にとどまる。

 陰性証明書は、新型コロナウイルスに感染していないことを確認した上で、発熱などの感染の症状がないことを証明する。現在、台湾やインドネシアなど一部の国・地域がビジネス目的で渡航する際、提示を求めている。県外では民間の診療所が希望者にPCR検査を実施し、陰性証明書を発行する事例もある。一方、県保健医療部によると、県内では原則として医師が必要と認めた場合にPCR検査を実施するという。

 陰性確認の検査の需要は増えており、県内に駐在する外国の領事館や、海外の航空会社の県内事務所に問い合わせが相次いでいる。しかし領事館や航空会社では対応が難しく、陰性証明書を必要とする人に対しては、県外での検査を案内しているという。

 ある領事館の職員は「6月下旬、県内の陰性確認の検査実施について県に問い合わせをしたが、別の行政機関に案内された。案内された機関には、那覇検疫所へ確認するように言われた」と振り返る。

 那覇検疫所では、海外渡航のために陰性証明書を取得する目的であれば、PCR検査を受け付けている。同検疫所は「広報すると検査が多くなるので、通常業務に支障が起きる恐れがある。今後、需要が増えたら広報を検討したい」と述べた。那覇検疫所での陰性確認の検査と証明書の発行は事前の予約が必要。問い合わせは同所検疫課(電話)098(868)1674。