飲食業の時短・休業9割 卸売業にも影響 沖縄・感染拡大


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新型コロナウイルス感染拡大の影響で、観光客や地元客が減少している泊いゆまち=7日、那覇市港町

 新型コロナウイルス感染症の新規感染者数が7日、初の3桁となる100人に上り、県内経済界に不安や懸念が広がった。政府の観光支援事業「Go To トラベル」が始まり、事業者らは観光需要の戻りに期待を懸けていたが、同時に感染のペースは加速した。県の緊急事態宣言が出された今月1日以降、ホテルの宿泊予約はキャンセルが相次ぎ、飲食業では時短営業や休業に踏み切る事業者が全体の9割に上っているという。感染拡大が再び経済活動を縮小させており、経済関係者に悲愴(ひそう)感が漂っている。

 7日午後3時すぎ、那覇市の泊いゆまちは閑散としていた。例年の夏場はインバウンド(訪日外国人客)を含めた観光客が押し寄せるが、今年はほとんどが地元客だ。観光客から需要の高い海ブドウなどは販売不振の状況が続いている。

 いゆまち内で魚介類を販売する店舗によると、7月23~26日の4連休中は若干、観光客の戻りがあったが、8月に入ると訪れる客は激減した。事業者らは飲食店への卸売り、小売りの売り上げ減という二重で苦しい状況に置かれている。

 関係者は「休業する飲食店も多く、注文を受ける量は日に日に少なくなっている」と現状を語る。

 感染者数が100人に上ったことについて、ホテルかりゆしの玉城智司社長は「これだけ感染者が増えてくると県をまたいだ移動を自粛する人が出てくる」と懸念する。感染拡大を受けて日に日にキャンセル数も増えており、8月の客室稼働率は2~3割になるなど厳しい状況が続いている。

 こうした中でも、県内で展開する各ホテルの総支配人や役員を集め、清掃衛生プロジェクトチームを立ち上げるなど感染防止対策の強化に取り組んでいる。玉城社長は「やれることをやって安心安全を発信していくしかない」と話した。

 「『Go To』を否定して、経済を停滞させるのは危険だ。最後の命綱だ」。7日に開かれた県議会経済労働委員会で、県ホテル組合の中村聡専務理事が訴えた。

 経労委は観光事業者らを参考人に招き、感染防止対策と経済活動の両立を巡り意見を聞いた。4~5月の外出自粛期間に施設を休館するなどして経営に深刻な打撃を受けた多くの事業者が窮状を訴え、県外との往来の継続を求める意見が相次いだ。

 県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「『不要不急の外出自粛』という言い方に問題がある」と語り、県の要請の在り方に不満を漏らした。
 緊急事態宣言後に組合員から聞き取り調査をしたところ、8月に入り7割の飲食店が時短営業、2割が休業に踏み切っているという。大阪府などは「5人以上」の会食自粛を求めるなど数値で基準を示しているのに対し、明確な基準を伴わない沖縄県の発表が過剰な自粛につながっているとの見解を示した。