「事実上の営業規制だ」 飲食経営者から不満 時短営業延長はないが県民は夜間外出自粛


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コロナ禍の影響で、閑散とする飲食店街=13日午後7時35分ごろ、那覇市松山

 玉城デニー知事は13日、県独自の緊急事態宣言を29日まで延長すると発表した。その上で、観光客への渡航自粛は引き続き求めず、那覇市松山地域の接待を伴う店舗への休業要請や飲食店の時短営業要請については延長をしない形となり、経済活動への「配慮」がにじむ内容だ。しかし、新たに午後10時以降の夜間の外出自粛などを県民に求めたことで、各業界の経営者からは「事実上の営業規制だ」と経営への影響が避けられないことへの不満の声も広がった。

 那覇市松山地域でキャバクラ店を経営する男性は「16日から営業できると言っておいて、客には行くなと言うのはおかしい。2週間、客が来なくて補償もなければ店がつぶれる」と憤り、知事が新たに夜間や繁華街への外出の自粛を求めたことを批判した。

 県の要請に従って休業している「らうんじひまつぶし」の村上誠店長は「店を開けても客が来ないのではないか。従業員の意見も開店と休業で半々だ。悩ましい」と話した。

 那覇中央社交飲食業協会の伊波興治会長は、松山への休業要請期間が終わっても客足はすぐに戻らないと指摘する。「企業や役所が酒の席を解禁しない限り、売り上げは簡単には回復しない。店を開けても休業を続けても、8月中は厳しいだろう」と話し、資金繰りなどの支援を拡充するよう求めた。

 飲食店に午後10時までの閉店を求める時短営業要請は15日で終了する。だが、県飲食業生活衛生同業組合の鈴木洋一理事長は「県民への夜間外出自粛要請は時短営業に等しい。矛盾している。売り上げ減少に拍車がかかってしまう」と疑問を呈した。

 観光業界には、渡航自粛が要請されれば「Go To トラベル」の対象から沖縄が除外されるのではないかという懸念があった。除外の明確な基準は決まっておらず、観光庁の担当者は「(東京以外の地域も)除外の可能性が全く無いわけではない」と話す。

 JTB沖縄の杉本健次社長は「観光の波及効果を考えると、Go Toは地方の経済や県民の生活を支えるキャンペーンだ。秋口に回復できなければ倒産はさらに加速する」と危機感を強めた。

 県は県民に対し、不要不急の外出を自粛することや原則1人で買い物に行くことを求める。リウボウホールディングスの糸数剛一会長は「人の動きが止まれば当然消費に影響は出る。中小零細企業は持たないだろう」と見通した。「感染を抑え込んでも、また県外から持ち込まれれば同じことの繰り返しで、経済が崩壊してしまう。県には根本的な手だてを打ってほしい」と望んだ。

 JAおきなわの普天間朝重理事長は、旧盆需要の落ち込みや輸送体制への影響などを不安視する。青果や花卉(かき)は、航空便が増加したことで販売体制が回復の兆しを見せていた。「航空便が大幅に減便・運休になれば、輸送や販売体制に影響が生じる」と懸念した。