辺野古設計変更 防衛局、沖縄県の審査結果待たず発注 8月に入札


この記事を書いた人 Avatar photo 宮里 努
普天間飛行場移設に伴う新基地建設の現場=6月

 【東京】米軍普天間飛行場の名護市辺野古移設に伴う新基地建設で、埋め立て予定地の軟弱地盤を巡り沖縄防衛局の設計変更申請が県で審査される中、審査結果が出る前に防衛局が既に変更を前提にした地盤改良の実施設計を発注していたことが分かった。赤嶺政賢衆院議員が防衛省から報告を受けた契約の特記仕様書には、設計変更申請書に記載のない事実も記されていた。赤嶺氏は県の審査を待たずに先取りした設計発注を批判している。 

 防衛省によると、審査結果が出ていない段階での設計発注を禁じる規定は特にないという。防衛省は「普天間飛行場の一日も早い移転の実現を目指しており、設計を含めて着実に進めることが重要だと考えている。申請内容に基づいて工事発注に必要となるもので、承認後、速やかに工事が進められるように設計業務の発注を行っている」と説明した。

 防衛局は今年4月、県に設計変更を申請した。地盤改良に関する実施設計業務「シュワブ(R2)土木設計)」は8月7日に一般競争入札を実施した。契約金額は8億5800万円で、東京のコンサルタント会社と他のコンサルタント会社の九州支店や沖縄支店の共同体が受注した。履行期間は来年3月末まで。

 業務の特記仕様書によると、地盤改良の対象範囲は約66ヘクタールで、その内訳としてサンドコンパクションパイルと呼ばれる改良工法の部分が約7ヘクタール、バーチカルドレーン工法が約59ヘクタールと明記している。またふぞろいに沈下する「不同沈下」の検討には6ケースのシミュレーションを求めている。新基地の滑走路の走行部分も6カ所に含まれている。