国際琉球学研究者 山口栄鉄さん死去 82歳 バジル・ホール研究会名誉会長


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 国際琉球学研究者の山口栄鉄(やまぐち・えいてつ)さんが10日午前1時ごろ(現地時間)、肝臓がんのため、米コネチカット州の病院で死去した。82歳。那覇市出身。自宅は米コネチカット州ハムデン。葬儀・告別式は近親者のみで執り行う。

 琉球大学を卒業後、米国へ留学した。プリンストン大学、スタンフォード大学、エール大学で教壇に立ち、県立看護大学英語科教授も務めた。1816年に琉球を訪れて世界に紹介した英海軍士官バジル・ホールらを含めて琉球・沖縄を訪れた欧米人たちが記録した文献史料を翻訳し、研究に取り組んだ。バジル・ホール研究会の会長や名誉会長も務めた。

 英語やフランス語、ドイツ語などの欧文による日本や琉球の研究「欧文日本学・琉球学」の新学術分野の構想も提唱し研究を進めた。

 主な著書・訳書に「幻の琉球国聖典」(琉球新報社)、「英宣教医ベッテルハイム―琉球伝道の九年間」(人文書院)、米国人の歴史学者ジョージ・H・カーの原著を翻訳した「沖縄・島人(しまんちゅ)の歴史」(勉誠出版)などがある。