民衆視点で沖縄を捉え、講演や論考残す 死去した色川大吉さん県内知識人とも交流


社会
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「明治精神史」刊行50年を記念して開かれた「囲む集い」で語る色川大吉さん=2014年11月5日、那覇市おもろまちのザ・ナハテラス

 7日に死去した歴史学者、色川大吉さんは沖縄の日本復帰2年後の1974年、代表作となる「ある昭和史」の執筆取材のため初めて沖縄を訪問した。以後、民衆の視点で沖縄を捉え、沖縄に関する数々の講演や論考を残した。県内の知識人とも交流を深め、相互に刺激し合った。くしくも、亡くなった7日に発売された「沖縄と色川大吉」(不二出版、三木健編)が遺著となった。

 色川さんと共編で「明治建白書集成」を刊行した山梨学院大学名誉教授の我部政男さんは「学問上の恩人。歴史研究の方向性について大きな影響を受けた」と振り返った。「沖縄の現状に深い関心を持ち続け、第一線からわれわれを激励してくれていた。安らかに休んでほしい」と語った。

 ジャーナリストの新川明さんは「色川さんの著作を通して復帰運動の思想について学び、刺激を受けた」と話した。「沖縄の民衆史の研究に大きな影響を与えた方。沖縄にとって惜しい人を亡くした」と悼んだ。