【識者談話】県議パワハラ疑惑、訴え通りなら追及方法の合理性に疑問(喜多自然弁護士)


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喜多 自然弁護士

 県職員の方が訴えておられるような言動が実際にあったとすれば、その職員が相当の威圧感を受けたのは当然で、それにより心身の不調が生じたとしても不思議ではない。県議会議員という立場の優位性を考えるとなおさらである。議会には調査権限があるとしても、議員が一職員に対して電話で追及するという方法自体の合理性にも疑問がある。

 力関係などを背景に相手に身体的・精神的な苦痛を与えるハラスメントを規制することは社会全体の課題であり、それゆえ2019年には職場のハラスメントを対象にした「パワハラ防止法」が制定された。官民問わず多くの組織でハラスメント防止対策がとられつつある。

 ハラスメントとはつまり相手の人格や尊厳を否定するような許容限度を超えた言動だ。相手の心身の不調をもたらし、場合によっては生命にも関わる重大な人権侵害であることを社会全体で認識することが重要だ。世界的にも国際労働機関(ILO)が、パワハラやセクハラなどの類型を問わず暴力とハラスメントの撤廃への取り組みを求めている。

 あらゆる場面でのハラスメントを許容しないという包括的なハラスメント禁止や被害救済の仕組みを作っていくことが重要だ。