スーパーヨット「観光や整備…沖縄の新産業に」「石垣も魅力的」 代理店代表・稲葉健太氏


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スーパーヨットの受け入れ拡大に向け政府へ制度低減をしている「SYLJAPAN」の稲葉健太氏=2021年12月23日、琉球新報社

 スーパーヨットの代理店業務を担う「SYL JAPAN」(神奈川県)の代表で、受け入れ体制強化に向けて政府への制度提言をしてきた稲葉健太氏に世界的な産業の状況や、沖縄の優位性について話を聞いた。

 ―スーパーヨット産業の可能性は。

 「スーパーヨットの産業自体は、どんどん拡大している。日本は80~90年代にプレジャーボートの産業は世界をリードしていたが、その後は停滞した。その間、米国や欧州の国々では大型化が進み、寄港地の地域経済が発展している」

 「カリブ海の小国『グレナダ』はスーパーヨットを含むプレジャーボートの経済効果は国内総生産(GDP)の6%を占めるようになった。人口約10万人の国で、900人程度の雇用効果が生まれるなど、生産性も高い。一方、この産業に関して、日本での経済効果はほとんどゼロに等しい。10年後を見据えて、整備する利点はある。沖縄に新たな産業ができるので、経済成長につなげることができるのではないか」

 ―沖縄で受け入れ体制を整備する利点は。

 「多くのスーパーヨットは日本の南から入ってくる。石垣などもクルージング先としてコンパクトでまとまっていて魅力が高い。太平洋から来る船にとって沖縄は文化的な施設や、レストランなどもそろっているので、日本の入り口となり得る」

 ―政府に政策提言を続けてきたが、今後の課題、展望を。

 「入管、税関の手続きの緩和がなされたのは大きな第一歩だった。次の課題は港湾整備だ。日本には港がたくさんあるので、受け入れに向けて新たな港をつくるのではなく、今ある港にスーパーヨットが接岸できる岸壁や浮桟橋、水や電気などの設備を整備することで付加価値を上げ、誘致することが可能となる」

 「50メートルクラスのスーパーヨットの年間予算は人件費などを含めて約6億円だが、実はその半分はメンテナンス費用だ。日本は造船技術があり、内装技術をもった職人もいる。船級の認証団体も全国にあるなど、利点も多いので、観光だけではなく、整備などの分野でも、日本が取っていける可能性がある」
 (聞き手 池田哲平、中村優希)