行政協定草案の考え方は「まっとう」、今の日本政府は「対米従属」 ジャーナリスト・布施祐仁さん


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 米軍の駐留を認めれば、米国と交戦する第三国から攻撃されるリスクを負う。日米行政協定の締結に向けて論点を検討していた当時の日本政府は、米国と第三国との戦争に日本が巻き込まれるリスクを自覚し、少しでも減らそうとしていた。まっとうな考え方だ。本来、日本国は国民の安全や生命を守る事を第一に考え、米軍の活動を規制すべきだ。だが、現在の日本政府はむしろ米軍の活動を優先している。

 提供施設・区域外での訓練に関する事前協議を義務付けようとしたのも、主権国家として当然だ。現実に米軍の活動が公共の安全に影響を及ぼしているにもかかわらず、一切規制しようとしないのは主権国家の姿勢ではない。

 草案には刑事事件については、被疑者を基地内にかくまうことがあってはならないと明快に書かれている。

 このように草案通りに日米地位協定が改正されれば現在、沖縄をはじめ全国で問題になっている事が大きく改善される。

 当時の日本政府には独立に向けて主権国家として望ましい協定を模索する気概があった。それから70年余がたち、今の政府は対米従属に慣れきってしまっているように見える。国民の命や安全を第一に考えるという当たり前の考え方をしてほしい。