高江着陸帯、周辺植物の枝枯れる オスプレイ排気熱影響か


社会
この記事を書いた人 志良堂 仁

 米軍北部訓練場内の東村高江に隣接するN4地区のヘリコプター着陸帯(ヘリパッド)2カ所で芝が茶褐色に枯れていたことが26日、分かった。同地で訓練するMV22オスプレイの高温排気熱の影響とみられる。ヘリパッド周辺の木の枝が枯れているのも確認された。さらに県内では自生していないクズ(マメ科)も見つかり、ヘリパッドの新設で環境に影響が出ている実態が明らかになった。

 県環境影響評価審査会(会長・宮城邦治沖国大名誉教授)と県環境政策課が9月に実施した現地調査で確認した。26日に宜野湾市で開かれた審査会で報告され、ヘリパッド提供後の環境への影響についても懸念が噴出した。
 ヘリパッドの周辺の枝の枯れについて、委員からは「オスプレイの排気熱の影響と思われ、森林への影響を詳しく調査すべきだ」(宮城会長)「排気だけでなく有機物を破壊する窒素酸化物も出ていないか考察してほしい」(大出茂琉球大教授)などとの意見が相次いだ。
 県内で自生していないクズは、ヘリパッドに植えられた芝に混入した可能性があるという。委員の辻瑞樹琉球大教授は「芝はせめて県内で作ったものを使用してほしい」と求めた。
 審査会は知事へ答申するため、沖縄防衛局によるヘリパッド建設工事の事後調査報告書や、9月の現地調査、答申案を審議した。事務方が提示した答申案では、特定外来種の駆除の徹底も求めた。県は委員の指摘を踏まえ、次回の審査会で新たに答申案を諮る。
 事業は法や条例の対象ではないが、沖縄防衛局が自主的に環境影響評価(アセスメント)を実施した。アセスの対象機種はCH53大型輸送ヘリで、アセス後に配備されたオスプレイの影響は調査されていない。
 防衛局が7月に公表した事後調査報告書は、オスプレイについて「事後調査で、騒音や動植物と生態系に係る調査などを行い、環境の保全について適正な配慮ができるものと考えている」としている。
 高江の住民代表の意見陳述もあった。高江ヘリパッド建設反対現地行動連絡会の北上田毅さんが、旧林道を整備する工事用道路について「完成後に米軍が進入路として使うのであれば、赤土流出防止策を講じるべきだ。米軍が直轄工事で大規模に拡幅すれば、(環境保全策を)チェックできない」と訴えた。