ひとり親、困窮と悩み拍車 残高数千円、ぎりぎりの生活「私が頑張るしかない」<2022年度沖縄子ども調査>


社会
この記事を書いた人 琉球新報社

 8日に発表された沖縄子ども調査「高校生調査報告書」では、過去2回の調査同様に、低所得層ほど家庭環境や進路選択、心身の健康に影を落としている現状が改めて示された。本調査では新型コロナウイルスや物価高騰の影響もあり、低所得層の割合が増加する結果となった。行政の支援により、所有物の欠如感などに改善が見られる部分もあったが、構造的な課題は変わらない。低所得層の生徒や保護者からは、八方ふさがりの未来を嘆く声も目立つ。

 「貯金をする余裕もない中で、大学進学の費用をどう捻出しよう」。進学を目指す高校3年生の双子を1人で育てる40代女性にとって、本年度は教育費のことで頭がいっぱいだ。

 高校入学時、2人分の学用品購入により通帳残高が数千円になり、児童扶養手当の支給まで緊張と不安の日々を送った。その後も息子らに小遣いを渡す余裕はなく、衣服の購入も我慢してもらう生活だ。ちょうどコロナ禍も重なった時期。食料支援や低所得層を対象にした国の給付金がなければ「生活を維持できなかったかも」と振り返る。

 勉学に励む息子らのため、修学支援新制度による給付型奨学金の申請は済ませたが、塾の費用を確保する策はまだない。「子どものためにも、条件や対象が限定されない大学無償化を実現してほしい」と願う。

 県外から移住したシングルマザーの50代女性は、高校1年の息子と「ぎりぎりの生活」を送っているという。

 光熱費を滞納し、日々の食事も制限するが「母子家庭だから不自由している」と思われないよう、息子にはスマートフォンは持たせている。

 賃金の良い職に就きたいが、病気の影響で選択が限られるのも悩みだ。頼れる人もおらず過去に自己破産も経験している。疲れ果てて余裕を失い、息子につらく当たってしまった後悔は消えない。

 息子は高校入学後すぐにアルバイトを始め、専門学校への進学を目指している。親としては在学中に就職に結びつく資格を取得してほしいが、試験代は数万円単位と高い。「とにかく私が頑張らないと」と語り、ぎゅっと拳をにぎった。