基地汚染、国の介入提言 環境調査指針 県、策定向け原案


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環境調査ガイドライン(仮称)などについて話し合う米軍施設環境対策事業検討委員会の委員ら=3日、県庁

 米軍基地に由来する環境汚染が発覚した際の対応を明確化するため、県が2017年3月策定を目指す「環境調査ガイドライン」(仮称)原案に、日本政府の介入を強化することなどを求める提言が盛り込まれた。3日、県庁で開かれた米軍施設環境対策事業検討委員会(委員長・府本禮司沖縄平和協力センター理事長)の第3回会合で県環境政策課基地環境特別対策室が示した。

 「ガイドライン」に盛り込まれた提言は、基地汚染について(1)環境省が介入できる制度を設ける(2)法規制対象外の化学物質については制度で規制すること―などを要望。返還予定地に関しては、環境影響評価制度の導入・適用などを検討するよう求めている。
 検討委は4月以降、「住民参画情報公開専門部会」など4部会を設置。ガイドラインの内容を来年3月までに固める。
 従来は返還跡地などで環境汚染が発覚するたびに県や市町村が対応を検討したが、県はガイドラインで対応を統一することで効率的に対処できる体制を構築する狙い。
 ガイドラインは周辺住民に情報を公開し、意見を取り入れることも重視。米国で汚染の浄化計画に住民を参画させるため基地が設置する回復助言委員会(RAB)の、日本版(回復諮問委員会)創設も検討している。既存の制度でカバーできていなかった(1)汚染の浄化目標(基準)や浄化手法の策定(2)自然環境や歴史的・文化的環境(井戸、拝所など)への影響調査―なども行うよう定める。
 米軍による盛り土などに汚染が混入する恐れがあることから、衛星写真などを基に基地内の地形改変状況を可視化する。水質汚染に対応するため、基地を含めた地下水地図も作製する。航空機騒音専門部会の設置も予定していたが、新たな騒音指標「エルデン」について「知見が少ない」として来年度設置は見送った。
英文へ→OPG to ask Japan to step into environmental pollution survey by U.S. military