県の「無資格者配置」特例 「保育士の負担増す」現場から反対、疑問の声


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 県が保育士資格がない人を特例として保育園に配置する方針を固めたことを受け、保育現場からは「保育の質の低下につながる」「保育士の負担が増し、さらに離職者が増える」などと反対する声が上がっている。県私立保育園連盟の玉城善徳会長は20日、「保育士は子どもの命を守る仕事。無資格者を配置する前に、県内に約1万人いると言われている潜在保育士の復職支援に力を入れるべきだ」と指摘した。

 一方、県は「緊急的なもので、引き続き保育士の処遇改善に努めていく」と理解を求めている。県の金城武子ども生活福祉部長は「保育士確保が思うように進んでいないのが現実。最終的には有資格者を配置すべきだと思うが、暫定的に(無資格者配置を)取り組むことにした」と方針の背景を説明した。
 県は保育士確保のため、保育士資格取得のための修学資金の貸し付けや、地域限定保育士制度の導入などの施策を講じている。しかし昨年10月1日現在で、保育士不足による待機児童は211人に上った。
 県の方針に対し県私立保育園連盟の長嶺久美子、當間左知子両副会長は、国家資格である保育士の仕事を説明した上で「保育士の残業が増え、離職につながる」と指摘する。子どもたちの登園時の健康チェック、日々の保育カリキュラムの策定、子ども一人一人の様子や保育内容を記した保育日誌の記入など、資格のない人には任せられない仕事が多いという。
 沖縄女子短期大学の平田美紀教授(保育・幼児教育)は「保育では大人からの関わり方が重要で専門性が必要。保護者支援も保育士の仕事の一つで、さらなる専門性が求められているのが現状だ」と述べ、子どもの育ちや安全の面からも無資格者配置を疑問視している。