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疑問や違和感をすくい上げ、掘り下げる <2023年度社会科新聞コンクール入賞者に聞く>3


疑問や違和感をすくい上げ、掘り下げる <2023年度社会科新聞コンクール入賞者に聞く>3 慰霊の日の平和祈念公園で集団で警戒する警察官ら=2023年6月23日
この記事を書いた人 琉球新報社

2023年度に開催された第25回沖縄県中学校社会科新聞コンクールに3760人の応募がありました。その中から沖縄県中学校社会科教育研究会会長賞に選ばれた饒平名桔梗さんに、テーマの選び方や、新聞を製作する上で工夫した点などを聞きました。

ーこのテーマを選んだ理由は。

子どもの頃から毎年慰霊の日には家族で平和祈念公園に行き、平和の礎に手を合わせてきました。コロナ禍で数年行けなくて、昨年久しぶりに慰霊の日に平和祈念公園に行ったら、すごくピリピリした雰囲気になっていました。平和の礎にも警察官がいて、こんな雰囲気の中、遺族の方々が心を込めて祈れるのかと疑問に思いました。その後、夏休みの宿題で新聞づくりがあることを知り、テーマはこれしかないと決めました。

ー情報収集の方法は。

まず沖縄戦と慰霊の日の歴史について調べるために、小学生の時にもらったりゅうPON!平和学習号を読み返しました。そして琉球新報や沖縄タイムスのデジタルサイトで沖縄戦や慰霊の日について調べました。新聞のデータベースで「沖縄戦」「慰霊の日」などで検索して、記事を読み込みました。

その中で、慰霊の日の警備について「要人警備の強化」について書かれていたので、その理由を詳しく知りたいと思いました。母に相談し、慰霊の日の式典の運営を担当している県庁の部署を調べてもらい、電話で話を聞きました。とても緊張しましたが、分かりやすく教えてくれました。

県庁の担当者に話を聞いたことで、安全な式典と遺族が静かに祈る場のどちらが大切なのかという疑問がわきました。データベースなどで調べても疑問が解消できなかったので、沖縄戦や平和学習に関する記事によく出てくる新城俊昭先生にインタビューをお願いしました。連絡先が調べられなかったので、母に大学に連絡してもらいました。

インタビュー前に、聞きたいことをノートにまとめて話を聞きにいきました。私が思いつきもしない提案がたくさん出てきて、とても勉強になりました。

ーまとめ方で工夫した点は。

伝えたいことから書いていこうと思いました。まず慰霊の日の歴史と、違和感を覚えた昨年の平和祈念公園での様子をトップ記事としてまとめました。新城俊昭先生のインタビューは目立つようにタタミ記事として配置しました。その2つの記事を踏まえて読むセカンド記事に自分の意見をまとめました。編集後記では、未来に向けて私たちがすべきことを提案しました。カコミ記事部分では、なぜ慰霊の日をこれほど沖縄の人が大切にしているかを伝えるために、沖縄戦での犠牲者数をまとめました。

見出しはその記事で一番伝えたいことを凝縮してつけました。字の大きさを変えてメリハリをつけたつもりですが、もっとレタリングを工夫した方がよかったなと他の人の作品を見て思いました。

ー心掛けたことは。

自分が抱いた違和感を、新聞を読んだ人にも伝わるように記事をまとめました。できるだけ読みやすい字で誤字がないようにしました。調べたことやインタビューした話を紹介するだけでなく、私たちができることや考えていかなくてはならないことを発信できる作品になるように心掛けました。