那覇・保護費返還請求 女性、「市の瑕疵」指摘


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 那覇市が娘2人が高校に通うための貸与型奨学金を収入と見なして、世帯主の40代女性に生活保護費の返還を求めたことに対して、女性が県に再度審査請求している件で、市と女性は1日までにそれぞれ弁明書と反論書を県に提出した。市は弁明書で請求の棄却を求めた。

 市の弁明書提出は8月29日付。市は今回の返還請求前に、収入と見なさない経費を計上するため、資格検定の合格証明書など領収書以外にも支出を証明する資料の範囲を広げて提出を求めたと説明。女性から資料の提出がなかったため、返還金額を約93万円に確定したと主張した。奨学金を受けている間も、女性らに奨学金が収入認定される可能性があることを説明するなどの指導を行ってきたとした。

 一方、女性は9月23日付の反論書で、市の返還請求を取り消した2015年の県の裁決が「奨学金収入があったそれぞれの時点において」奨学金の使途などの調査がされていないことを指摘したと主張。そのため事後的な調査では「処分庁(那覇市)の瑕疵(かし)が治癒されていないことは明らかだ」と反論した。

 那覇市は15年、貸与された奨学金全額に当たる約100万円分の保護費を女性に請求したが、県の裁決で処分が取り消された。16年5月、約93万円の返還を再度求めた。