「古里忘れず活躍を」 久米島高校70年シンポ 佐藤優氏らが提言


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久米島高校の魅力を語った佐藤優さん=12日、久米島高校

 【久米島】県立久米島高校(前川守克校長、全校生徒232人)の創立70年記念シンポジウム(創立70周年記念事業期成会主催)が12日、同校体育館で開かれた。「久米島の人材育成-久米島高校が果たす役割-」をテーマに、母親が久米島出身の作家佐藤優さんの基調講演とシンポジウムが行われた。全校生徒が参加し、熱心に耳を傾けた。

 佐藤さんは、成績を上げることと本当の勉強は違うとした上で「いろんなことを勉強できるのが久米島高校。園芸科はバイオの最先端で大学の農学部のレベル。図書館もちょっとした大学レベル」と強調。「みんなが活躍できる大きなところに出て行ってほしい。そんな自分を作ってくれたのは古里であり久米島高校ということを忘れないでほしい。やりたいことが見つからない時は先輩に聞いてみよう」とアドバイスした。

先輩たちの話に熱心に耳を傾ける生徒ら

 シンポジウムでは久米島海洋深層水開発代表取締役の安里一月(いつき)さん、薬剤師でたいよう代表取締役の山城晶さん、久米島高校魅力化事業嘱託員の山城ゆいさん、同校2年生の山城ももかさんと嘉手苅妃那(ひな)さんが登壇した。

 米国に10年滞在した山城晶さんは「久米島の皆さんは世界で通用する人材であると信じてほしい」と強調。同校40期生の安里さんは「海洋深層水に特化した学科があれば、島の活性化につながる」と提案した。山城ゆいさんは「生徒だけでなく大人もワクワクできる町にしていこうという機運が高まってほしい」と、教育だけでなく経済や医療などを町全体で整える必要性を語った。

 嘉手苅さんは東京で学生が企画したイベントなどに参加した経験から「少人数の学校なので多くのチャンスがあるのが久米島高校の良さ」と強調した。現代版組踊などに出演している山城ももかさんは「いろんな舞台に立ち、いろんな人と関わることで島を世界の人に伝えていきたい」と話した。司会進行は琉球新報社編集局の松元剛次長兼報道本部長が務めた。