手作り和紙で卒業証書 作業体験、生徒に笑顔


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天日干しで乾いた和紙に触れて笑顔を見せる生徒ら=16日、県立美咲特別支援学校はなさき分校

 沖縄県立美咲特別支援学校はなさき分校(北中城村)は14日から16日にかけて、授業の一環で卒業証書に使う和紙作りに取り組んだ。来春卒業する小学部から高等部までの27人と手工芸班に所属する中等部・高等部の合わせて36人が、材料となるミツマタの樹皮をたたいて繊維を細かくし、紙すきをして乾かすまで一連の作業を体験した。16日、強い日差しできれいに乾いた紙に触れた生徒たちは「さらさらだ」「気持ちいい」と笑顔で歓声を上げた。

 卒業証書作りは開校した2014年度に始めて3年目。那覇市内で手漉(てすき)琉球紙工房「蕉紙菴(しょうしあん)」を開く安慶名清さんが指導している。

 紙をすく際に、とろみを付けるために使うリュウキュウトロミアオイは校内で栽培した。購入したミツマタの樹皮から不純物を取り除く根気のいる作業も生徒が取り組んだ。安慶名さんは「仕込みの難儀さから体験することに意義がある。子どもたちはとても一生懸命取り組んでおり、学校の伝統になればうれしい」と目を細める。

 紙すきをする時に「木の匂いがした」と感想を語った高等部3年の仲村隼人さんは、同級生の新川歩紀(いぶき)さんと「卒業証書を受け取るためにも、留年しないようにしないと」と笑い合った。城間政次副校長は「自分で作った世界に一枚の卒業証書は、いい思い出になる。異年齢で取り組む意義も大きく、これからもぜひ続けたい」と喜んだ。