■識者談話 我部政明氏(琉球大教授)
米軍北部訓練場で麻薬の取り締まりなどを巡っての訓練を行っているというのは聞いたことがない。中米コロンビアのテロ掃討作戦の中で麻薬対策として米軍を出動させたことがあったが、沖縄で訓練を行っていると聞くのは初めてだ。
北部訓練場は最近、他国軍の利用などが明らかになっている。米海兵隊だけでなく、米軍の使い方自体も多様化していることの表れかもしれない。自衛隊や米国の同盟国の軍隊から要望があれば、いろいろなことに使っているというアピールにもなる。
米軍は米国外のジャングル訓練施設は沖縄だけだと、いつもその意義を強調している。さまざまな用途に使えて役に立っている施設だと、存在の正当性を主張したかったのではないか。村議だけでなく、米国人が来ても同じように説明しているのだろう。
だが日米安保条約に基づく施設提供としては目的は限定されるはずだ。何にでも使っていいというわけではないのははっきりしている。日米両政府としては、安保関連法で日本による貢献も前面に出してきている中では、今回の使用目的もあいまいなグレーゾーンに入っているというのかもしれない。
ただ基地は、維持されていること自体で、多くの人の生活や生命、財産に大きな影響を及ぼしている。訓練目的なら何をしてもいいのかということになるが、基地の存在が住民生活に与える影響は忘れ去られてはならない。
(国際政治)