南部水道企業団、不透明な「飛び級」昇給 3職員に月8万円超増


この記事を書いた人 志良堂 仁

 南風原と八重瀬の2町の水道事業を担う一部事務組合の南部水道企業団(赤嶺勤企業長)が2000年以降、男性職員3人に対し、規則で定める上昇幅を超えた給与引き上げ、いわゆる「飛び級」を行っていたことが26日までに琉球新報の取材で分かった。15年7月に南風原町が3人の「飛び級」について問題視し、南部水道企業団に指摘していた。「飛び級」をはさんだ4年間に、職員3人の月額給与はそれぞれ約8~10万円上昇している。企業団の玉城秀樹次長は本紙取材に対し「個人情報がどこまで保護されるか分からないので(調査するか)言えない」としている。

 南部水道企業団の給与原資は2町の町民の水道料金などが充てられており、企業団の説明責任が問われそうだ。

 企業団は給与規則で昇格に関し「1級上位の職務の級に決定する」などと定めており、昇格時の2級上昇は認めていない。

 40代のA職員については00年10月時点で2級4号(月額給与18万8900円)だったのに対し、00年12月に3級を飛ばして4級1号(22万5千円)へ昇格する「飛び級」が行われた。

 50代のB職員については03年1月時点で5級13号(33万9700円)だったのに対し、03年4月に6級を飛ばして7級12号(38万3900円)へ昇任する「飛び級」が行われた。

 50代のC職員については02年4月時点で5級13号(34万6500円)の給与だったのに対し、03年4月に7級13号(39万2400円)へ昇任する「飛び級」が行われた。

 B職員は採用から13年の41歳時に8級14号(41万9700円)、C職員は採用から15年の41歳時に8級15号(42万6900円)と、南風原町の当時の部長職と同等の給与となった。

 本紙は24日、「飛び級」の根拠となった条文の提示を求めたが、企業団は示すことができなかった。「飛び級」が行われた3人は16年度現在、いずれも企業団の管理職を務めている。

 南部水道企業団は懲戒に関する要綱で、給与の不正支給や不正受給を行った場合、減給か戒告とする懲戒処分を定めている。また、部下職員の非行行為を知り得た後、隠蔽(いんぺい)か黙認した場合に監督者を停職か減給とする懲戒処分も定めている。(当銘寿夫)