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危険!泥酔で路上寝やめて 事故や窃盗被害も後絶たず


この記事を書いた人 Avatar photo 金良 孝矢

夏真っ盛りの気温が高い日が続く中、沖縄県内では泥酔して路上寝する人が後を絶たない。路上寝は車にひかれたり、窃盗被害に遭ったりすることもある危険な行為で、道交法違反(禁止行為)で摘発されることもある。路上で寝ていたり、何かしらの理由で横になっていたりした人が車にひかれるなどした交通事故で、ことしは7月中旬までに2人が死亡した。そのほかにも重軽傷事故が後を絶たず、県警が注意を呼び掛けている。 (金良孝矢)

昨年、県警にあった路上寝の通報は、過去最多だった16年に続き、2年連続で7千件を超える7016件だった。平均で1日19件の通報があり、3人が死亡、12人が重軽傷を負う事故が発生している。通報は夏場に集中し、7月が950件で最も多い。最も少ない2月でも344件あった。

ことしも1~6月までの上半期の通報が3015件と、昨年同期に比べ187件増えている。

最大規模の繁華街を抱える那覇署では、昨年は3687件の路上寝通報があった。保護した数は457件に上る。仮睡者狙いやすりの窃盗被害の認知件数は80件で、ことしは6月末までに30件(暫定値)発生している。

同署によると、路上寝などの通報から現場臨場、保護の事務手続きまで、警察官2人で約2時間要する。ある捜査関係者は「飲酒絡みの対応で、ほかの警察業務に支障を来している」と頭を抱える。同署は4月から保護された人にアンケートによる意識調査をしており、今後の対策に生かす方針だ。

昨年、県内の路上寝を含む泥酔者の通報件数は、過去最多の1万5234件だった。浦添や石垣の両市議会が、路上寝防止対策と適正飲酒に関する決議を可決するなど、県民の関心も高まっている。県警は「県民一人一人が適正飲酒を心掛け、総ぐるみで『適正飲酒運動』を推進していこう」と訴えている。

那覇・繁華街を歩いてみたら、ここにも! あそこにも!!

路上で寝込む男性に声を掛けて起こす警察官=6月末、那覇市の国際通り(画像を一部処理しています)

「家に帰るのが面倒だった。路上はひんやりして気持ちいい」。那覇市の路上で寝ていた会社員男性(28)=浦添市=は、酒が抜けない赤ら顔のまま、寝ていた理由を語った。早朝に那覇市内で友人と会う約束があり、「(時間まで)ちょっと休もうと思った」と言う。

記者は6月末、週末の深夜から朝にかけて、那覇市の国際通り周辺などを歩いた。日付が変わって午前2時ごろから至る所で路上寝が見られ、警察官や消防の救急隊が対応に追われていた。

歩道で寝ていた20代と見られる会社員男性に、救急隊員が「ここは寝る場所ではないですよ。病院に行きますか」と話し掛けた。男性は意識がもうろうとし、返事ができない。嘔吐(おうと)し顔面は蒼白(そうはく)だったことから、市内の病院に搬送された。

商業施設そばのベンチには、若い男性があおむけでいびきをかいていた。食べかけのコンビニ弁当が地面にこぼれ、財布がベンチ下に転がる。記者が那覇署に通報し、駆け付けた警察官が若者を起こした。警察官の「タクシーに乗って帰れる?」との問い掛けに、うなずいた若者は千鳥足で帰って行った。

那覇署によると、6月だけで506件の路上寝が発生した。市内では主に松山や牧志、安里、久茂地、前島などの繁華街で多いという。

過度な飲酒は路上寝につながり、事件事故に巻き込まれかねない。適正飲酒について県民全体で真剣に考える時期に来ている。