小中一貫校を検討 浦添市 当山小、分離案と比較


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 【浦添】過大規模解消が課題となっている沖縄県浦添市立当山小学校(33クラス、1074人)について、浦添市教育委員会は既に分離新設校を設置する方針を決めていたが、小中学校9年間の義務教育を一貫して実施する「義務教育学校」の導入も新たに検討していることが14日までに分かった。小中一貫校は名護市の緑風学園など先例があるが、2016年度に制度化された義務教育学校が実現すれば県内初となる。同日、同市役所で開催された浦添市立学校適正規模等審議会で、市教育委員会が義務教育学校を導入している京都府で先進事例を調査したことなどを報告した。

 義務教育学校の導入は現時点で未定だが、浦添市は英語教育などで教育効果が高いことや、40億円程度かかると試算されている分離新設の事業費を大幅に圧縮できることから、過大規模解消の選択肢の一つとして残したい考え。実現性は現時点で不透明だが、当山小に近い浦西中の敷地か隣接地に義務教育学校用の校舎を新設する案も浮上している。

 松本哲治市長が6月の浦添市総合教育会議で義務教育学校の導入について検討するよう提案した。松本市長は本紙の取材に対し「教育効果や費用も考慮し、教育改革をどうするのかという視点も大切だ」と述べた。

 当山小は10年度から学級数が31クラス以上の過大規模校となり、保護者らが署名を提出するなどして早期の分離新設を求めてきた。こうした声を受け、市教委や市当局は16年に分離新設の方針を決定。過大規模解消に関する基礎調査を実施した。

 一度決めた分離新設の方針を覆して義務教育学校の導入を決定した場合、保護者や学校関係者、分離新設を前提に意向を聞いていた地権者らへの説明などで混乱が生じる可能性もある。学校関係者や保護者からは「突然のことでびっくりしている」「地域や現場の声を聞いて進めてほしい」など懸念の声が上がっている。文部科学省によると、義務教育学校は17年度に18道府県で国公立の26校が新設された。