対馬丸が結ぶ平和の絆 県内小中学生、奄美へ


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対馬丸平和学習交流事業で鹿児島県大島郡宇検村へ出発する県内の小中学生と保護者ら=17日、那覇空港

 疎開する学童らを乗せ、1944年8月22日、米潜水艦の魚雷攻撃で撃沈された「対馬丸」事件を通して、悲惨な沖縄戦の歴史を継承しようと、沖縄県内の小中学生と保護者らが17日、犠牲者の多くが流れ着いた鹿児島県大島郡宇検村に向け出発した。参加者は、慰霊碑や流れ着いた船越(ふのし)海岸などを訪れ、平和の尊さを再認識する。「対馬丸平和学習交流事業」として、県が初めて主催した。

 事業には本島在住の小学5、6年生と中学生、保護者の30人が参加。宇検村の小中学生32人とも交流する。17日に那覇空港で開かれた出発式で、県平和・男女共同参画課の大濱靖課長は「対馬丸の事件を通して戦争の悲惨さ、平和について、宇検村の小中学生と交流しながら学んでほしい」と語った。

 参加者を代表し、浦添中2年の成田みずなさん(13)は「平和について深く学びたい」と話した。

 陽希さん(14)、琉輝さん(12)、洸愛さん(10)の子ども3人と参加する金城義紀さん(46)は「沖縄戦の壮絶さや怖さとともに、生き残ろうとした人たちの思いも伝えていかないといけない。亡くなった人の声に耳を傾けつつ、交流を通して絆を深めていきたい」と語った。

 宇検村一帯の海岸には、対馬丸撃沈から約1週間後に、生存者や多くの遺体が流れ着いた。村民らが総出で救助に当たり、21人は助かった。