かまぼこ、ちくわなどの水産ねり製品の値段が、年内にも5~10%程度、値上げされる。原料になる冷凍すり身の需要が高まって価格が高騰し、物流費や人件費なども上昇していることが理由。沖縄県蒲鉾水産加工業協同組合(金城球二組合長)は「各メーカーの自助努力は限界を超えている」と文書を発表し、量販店や消費者に値上げへの理解を求めた。
県内のかまぼこ業者の値上げは、原料価格の高騰で同組合がすり身の卸売価格を約40%値上げした2008年5月以来とみられる。
原料となる米国産スケトウダラのすり身は、輸入価格が15年に高騰した後は高止まりしていたが、17年の夏以降に再び上昇に転じた。全国蒲鉾水産加工業協同組合連合会(全蒲連)によると、今年3月の平均的な原料の輸入価格は1キロ当たり前年同月比36%増の328円、5月は同23%増の340円、直近の7月は同15%増の332円だった。
昨今の人手不足による人件費の上昇や配送業者の物流費の値上げもあり、生産コストも上昇している。金城組合長は「年内には各社が値上げせざるを得ない状況になっている」と話し、5~10%程度の値上げを予想した。
量販店に納入する業者の場合、取引先が納入価格の値上げに難色を示すこともあるという。全蒲連の奥野勝専務理事は「今後も原料価格は上がると予想され、生産コストが下がる要素が見つからない」と業界の窮状を訴えた。