政治
宜野湾市長選 2018.9.30

普天間移設先で相違 宜野湾市長選立候補予定者座談会 松川、仲西両氏が論戦


宜野湾市長選に向けて健闘を誓い、握手を交わす仲西春雅氏(左)と松川正則氏=14日午後2時50分ごろ、沖縄市の琉球新報中部支社

 23日告示、30日投開票の宜野湾市長選を前に琉球新報社は14日、沖縄市の中部支社で、新人で前宜野湾市副市長の松川正則氏(65)=自民、公明、維新推薦=と新人で県高校PTA連合会前会長の仲西春雅氏(57)=社民、共産、社大、自由、国民民主、立民推薦=の立候補予定者2人による座談会を開いた。最大の争点である米軍普天間飛行場の移設問題では、早期の閉鎖、返還の主張は一致したが、名護市辺野古への移設については見解が分かれた。経済振興や子育て分野などでは独自の政策を掲げた。 

 辺野古移設について、松川氏は「国防、外交は国の専権事項であり、地方公共団体の首長で解決するのは厳しい。今後の動向を注視したい」と述べた。一方、仲西氏は「5年以内の運用停止を実現すれば、新基地建設が要らなくなる。名護市民に負担を強いる県内移設は反対だ」と主張した。

 経済振興では、松川氏は佐喜真淳前市長の市政継承を前面に「スイーツのまちぎのわん」宣言や公共工事の地元優先発注などを掲げた。仲西氏は県のアジア経済戦略構想を念頭に、西海岸地域でのクルージングや海釣り公園などの観光地開発に重点を置いた。

 課題である待機児童問題は両氏とも解消に向け注力する方針を示した。

 

        ◇              ◇

 米軍普天間飛行場の移設問題では、返還・撤去に向けた道筋の付け方や、県による辺野古移設の埋め立て承認撤回に対する受け止めなどで論戦を展開した。クロス討論では多様な質問をぶつけ合ったクロス討論を含め、白熱した議論を交わした座談会の詳報は次の通り。

 

 

【基地問題】

見える形で負担軽減―松川氏
県内移設に明確反対―仲西氏



 ―普天間飛行場の騒音被害軽減、返還に向けた具体的な取り組みは。


 仲西 仲井真弘多前知事が2013年12月に名護市辺野古への移設の埋め立て申請を承認した際、普天間基地の5年以内の運用停止を含む4項目の要請書を政府に提出し、安倍首相は「できることは全てやる」と答え、仲井真前知事は首相の約束は「重い」と話した。日本政府が約束した、この5年以内の運用停止を実現してもらえれば、解決するのではないか。私は子どもたちには約束を守ろうと日頃から話している。一国の首相の約束は本当に重いはずだ。この約束をしっかり守っていただきたい。普天間基地の県内移設に反対だ。自治体の首長として政治姿勢、信条を明確に示すことが市民に対する責務だ。曖昧な姿勢はいかがなものかと思う。


 松川 騒音、電波障害、墜落などへの恐怖、街のど真ん中にあるがための時間的、経済的な損失などあらゆる問題の唯一の解決策は一日も早い閉鎖、返還であることは言うまでもない。固定化は絶対に避け、市民に見える形で負担軽減に取り組んでいる。しかし、国防、外交は国の専権事項で地方公共団体の首長では大変厳しい。国、県、市による負担軽減推進会議で市民の声を伝える。米国での交渉もやってきた。一つ一つ実現することが現実的で、相応の成果を上げてきた。移設先として日米両政府で議論を重ね、辺野古に決定した経緯がある。県が埋め立て承認を撤回し、国と県の対立が続くことは大変残念だ。今後は県議会での議論などを注視したい。

 

 

【子育て・福祉】

保育、給食を無料化―仲西氏
ひとり親世帯を支援―松川氏


 

 ―待機児童問題や貧困世帯への支援などの福祉政策にどう取り組むか。


 松川 市民福祉の向上実現のためには財源確保が最も重要だ。経済政策による市税確保や一括交付金を含む国や県の補助金を積極的に活用する。福祉政策では、ひとり親世帯に対する自立支援やドメスティックバイオレンス被害女性の保護対策、母子生活支援施設整備などの充実を図る。現在実施するミニデイサービス事業なども拡充する。

 子育て支援政策では待機児童解消を図り佐喜真市政誕生後に約850人分の枠を確保した。女性の社会進出もあり、不足しているが、来年4月には解消の見込みだ。保育士の有給休暇取得のためのフレックスタイム制導入やICT機器の活用で業務負担を検討したい。


 仲西 誰もが安心して子育てできるまちづくり、子や孫が誇りある豊かさを実感できるまちを実現する。中でも強調したいのは待機児童ゼロや保育の無料化、中学卒業までの医療費窓口完全無料化、給食費の無料化。この四つのゼロを掲げ、子育てナンバーワン都市を目指す。総合福祉健康増進センター整備や老人福祉センター機能を充実させ、女性が輝き活躍する社会づくりを進める。


 待機児童問題では認可保育所はもとより認可外保育所にも一層支援を充実、保育士の正規雇用促進、定着も図る。貧困問題では「宜野湾市子ども未来応援推進基金」を設置し給付型奨学金制度の創設に取り組む。

 

 

【経済・雇用】

西海岸軸に地域活性―仲西氏
空き店舗対策を充実―松川氏


 

 ―商業地域の活性化政策をはじめ、どのように経済振興を図り雇用創出につなげるか聞かせてほしい。


 仲西 県が進めるアジア経済戦略構想のおかげで沖縄は観光が好調だ。宜野湾市の強みは沖縄コンベンションセンターを中心とした地域にある。市西海岸の優位性を生かし、アジアのダイナミズムを取り込んだ地域づくりを進める。同地域にある仮設避難港周辺を、クルージングや観光客交流の場、マリンレジャーの中心地として県と連携し整備する。トップアーティスト公演などの集客の高いイベントを支援し、定着させる。さらに企業経営の経験を生かして商工会と連携し、国や県が実施する中小企業への各種支援なども積極的に活用する。有効策としては市産業支援センターの早期設置を目指す。


 松川 これまで「宜野湾が一番」との強い思いで施策を展開してきた。新たに「スイーツのまちぎのわん」を宣言し、菓子店や飲食店で大山の田芋を使ったスイーツ開発を推進する。田芋栽培地域の保全や振興では、出荷場の整備などにも取り組む。民間経済のさらなる推進を図り「総合経済産業支援センター」や高度情報通信機能を備えた情報通信産業施設の建設にも着手する。地元企業を優先した公共工事の発注に引き続き取り組む。新たな企業誘致で若者の働く場を創出し、市内の就業人口を倍増させる。店舗リフォーム補助制度を創設し、空き店舗対策の充実に取り組み、商店街の活性化を図る。

 

 

【クロス討論


松川氏から「貧困対策など財源確保は」 仲西氏―観光推進で税収増
仲西氏から「教育環境の安全守るには」 松川氏―普天間即時返還を


 松川 子どもの貧困対策やいじめ問題をどのように改善し、そのための財源はどう調達をするのか。


 仲西 宜野湾市は本年度にようやく子どもの貧困のアンケート調査をした段階で、大幅に遅れている。スピード感をもって独自の貧困対策計画を策定し、実効性のある対策を進める。効率的な行政運営を徹底し、観光産業の振興で企業力を上げて、税収を大幅に伸ばして財源の確保を図る。宜野湾市子ども未来応援推進基金を企業や市民の協力で創設する。財源の問題にあらゆる手法で対応できるように進める。

 仲西 2018年度の予算は基金を取り崩して編成しているようだが、19年度以降の予算編成をどのように考えているのか。

 松川 市道宜野湾11号の整備や普天間飛行場周辺まちづくり事業などの大型事業が動き出す。旺盛な財政需要が本市にはある。国や県の補助金や交付金など、後年度負担の原則にのっとった政府資金の優良債を中心とした市債を十分に活用しながら予算編成していく。西普天間住宅地区の跡地利用などもあり、基金の取り崩しは続くと予想しているが、行革推進や徹底した経費節減など、市の職員一人一人が十分認識して予算を執行している。

 松川 普天間飛行場の移設問題について日米両政府に対応を求めると言うが、具体的にどういった形で行うのか。

 仲西 子どもたちの命と教育環境を守ることが責任ある市長として最優先に取り組むことだ。私は訪米行動を含め、あらゆる手段で県と共に一体になって、日米両政府に問題解決を求める。

 仲西 教育環境の安全を守るため、子どもたちの命を守るためにどのような対策、取り組みを考えているのか。

 松川 あらゆる問題の唯一の解決策は一日も早い普天間飛行場の閉鎖、返還だ。普天間飛行場を抱える本市として移設先について申し上げることは厳しい立場がある。県による埋め立て承認撤回については今後の動向を注視したい。

 松川 仮設避難港周辺を開発し、マリンレジャーのメッカを目指すオーシャンフロントリゾート実現のため、どのような手法で事業化し、財源確保するのか。

 仲西 仮設避難港の整備は県との対話をおろそかにしてきた結果、遅れている。県と密接に連携し、市の西海岸の連続性を阻害している仮設避難港をオーシャンフロントリゾートとして整備していく。財源は国の補助金制度の活用や一括交付金、民間活力の導入などで確保を図る。

 仲西 辺野古埋め立ての是非を問う県民投票の条例が県議会で制定された場合、松川氏は埋め立ての賛否のいずれに投じるか。

 松川 原点は普天間飛行場の危険性の除去だ。県民投票を市でどうするかは新市長が決めることになるが、県議会での議論をしっかりと確認したい。投票の賛否については、まだ議決もされていないことから回答を控えたい。

 

 

【市長選の意義】

市民生活守る―松川
基地返還実現―仲西


 ―市長選の意義は。


 松川 これまで40年近く行政に関わってきた。さらに佐喜真淳前市長と共に6年半、行政を担い、さまざまな事業に取り組んできた。種をまいた事業、芽を出している事業、予算の調整をしている事業を継承し、しっかり完結まで持っていきたい。普天間飛行場だけが発信されているが、9万8千人の市民が生活している。その市民生活をしっかりと守っていきたい。


 仲西 保育園や小学校に米軍ヘリの部品や窓枠が落下する事故があったが、行政の反応は鈍く、市政を変える必要がある。子どもの命を守り、教育環境の安全確保を優先すべきだ。市民の先頭に立って、学校上空の飛行停止を米軍に求めていく。現市政は基地機能の強化に反対せず、固定化を容認していると言わざるを得ない。市民の立場で基地の閉鎖、返還を実現する。

 

 

【最後の訴え】

市民目線の行政に―仲西

予算は市民に還元―松川

 

 ―これまでの討論を受け、最後に訴えたいことを。

 松川 副市長として支えてきた行政の立場で言うと、数年で宜野湾市が非常に変わったと感じる。普天間飛行場のマイナス要素はあるが、国の補助金を含めた予算を活用し、市民へ還元できる施策に取り組む。市民生活を守り、企業を育成し、税収の伸びを基地関係、ソフト事業に回していきたい。その方程式は頭に入っている。市民のために頑張っていきたい。

 仲西 教育現場の現状を放置してはいけない。子どもの命、市民・県民の命を守って初めて専権事項であってほしい。普天間基地の即時撤去と言いながら、100億円以上をかけて滑走路の補修や兵舎の増設、ため池まで造っている。そのまま(基地を)使用させるという国の意向をくんだものではないか。市民目線で、市民のために行政をやっていきたい。

 

松川正則氏
 まつがわ・まさのり 1953年9月生まれ、市野嵩出身。琉球大短期大学部卒。73年市役所入庁後、市議会事務局長などを経て12年から副市長。12日に辞職。

 

仲西春雅氏
 なかにし・はるまさ 1961年6月生まれ、浦添市出身、宜野湾市志真志在住。興南高卒。会社役員。2014年から県高校PTA連合会会長を2期4年務めた。


<出席者>

松川正則氏(65)
 =無所属新人、自民、公明、維新推薦

仲西春雅氏(57)
 =無所属新人、社民、共産、社大、自由、国民民主、立民推薦

 司会・新垣和也(琉球新報中部報道部長)