身体拘束は人権侵害 精神科医療シンポジウム 寄り添う治療考える


この記事を書いた人 大森 茂夫
パネル討論で「自分らしく生きよう」と呼び掛ける砂盃純子さん(右から2人目)Y=27日、宜野湾市の沖縄国際大学

 精神科病院で患者の手足をベッドにくくりつける「身体拘束」についてのシンポジウムが27日、沖縄国際大学であり、精神障がいの当事者や医療従事者が身体拘束の問題点を話し合った。自らの拘束体験を漫画にし配布したなかむらなつみさんは「拘束や隔離のつらさや恥ずかしさ、寂しさはなかなか理解してもらえない」と語り、過度な身体拘束は人権侵害であると問題視した。

 医療従事者を目指す学生らに対しては「患者に寄り添った医療とは何か考えてほしい」と訴えた。学生や医療従事者ら約160人が参加した。

 精神保健福祉士の砂盃(いさはい)純子さんは、精神疾患の人を救うのは治療ではなく「温かい心」と強調する。「あなたのままで」「自分らしく」という言葉をいつも自分自身にも、相談を受けた人にも伝えているとした。

 杏林大の長谷川利夫教授とオリブ山病院の横田泉副院長による講演もあった。

 糸満市から参加した泉和華(のどか)さん(29)=医療従事者=は「『管理するまま、されるがまま』という精神科医療の問題点がよく理解できた。患者との向き合い方を考え直すきっかけになった」と話した。