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クマ被害 最多71人 10月全国 死者3人、東北深刻


クマ被害 最多71人 10月全国 死者3人、東北深刻 クマによる被害人数
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 環境省は1日、10月のクマによる全国の人的被害件数が13道県で59件、被害者が71人となり、同時期の記録が確認できる2006年以降、最多だったと発表した。環境省によると71人のうち死者は3人で、岩手、長野、富山で各1人。4~10月では18道府県の計164件、死者5人を含む180人となった。いずれも06年以降で最多。速報値のため数は変わる可能性があるとしている。
 10月の被害者71人の内訳は、秋田が33人、岩手15人、富山5人、青森4人、北海道3人。新潟、石川、岐阜が各2人、山形、群馬、福井、山梨、長野が各1人だった。
 東北の被害が深刻で、4~10月では、秋田が61人に上り、岩手42人、福島13人、青森11人だった。長野も10人で続いた。
 クマの生息域外での発生も目立ち、秋田県北秋田市では市役所にほど近い市街地で高校生ら5人が襲われた。富山市では、クマに襲われたとみられる女性の遺体が住宅敷地内で発見された。
 環境省などによると、クマの個体数の増加や分布域の拡大に加え、今年は餌のドングリが凶作とみられることなどで、出没や被害が多発しているとみられる。
 人的被害数が過去最悪で推移していることを受け、環境省は、自治体に警戒や対策を呼びかける通知を発出したほか、警察庁や農林水産省などと関係省庁連絡会議を開催。また、自治体の要請に応じ、対策の指導や助言をする専門家の緊急派遣事業を始めた。