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水道管 衛星で点検 効率的に漏水範囲特定


水道管 衛星で点検 効率的に漏水範囲特定 人工衛星を使った漏水点検の仕組み
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 地中に埋められた水道管の老朽化への対応が課題となる中、長野県内で人工衛星を使い漏水エリアを見つけ出す点検が実施された。人による点検手法と比べ、期間短縮や効率化が実現できたといい、各地の自治体でも採用する動きが広がっている。
 この技術はイスラエルの企業が開発し、国内の代理店「ジャパン・トゥエンティワン」(愛知県豊橋市)が提供する。ジャパン社によると、国内では同県豊田市で導入され、以降、北九州市や浜松市など70余りの自治体で使われた。
 点検ではまず、人工衛星から地表へマイクロ波を照射する。マイクロ波が地中で漏れた水に当たると反射波が発生。この波を衛星で受信した後、独自のアルゴリズムで解析することで、漏水エリアを浮き彫りにできる仕組みだ。
 反射波は自然界の川や池の水でも発生するが、電気的な特性が水道水と異なるため、波形も変わり、見分けられるという。機器の設置や設備投資も不要で、漏水部分は半径100メートルの範囲まで絞り込めるとする。
 長野県と長野市、上田市は2022年、全長約2千キロメートルの水道管を対象にこの点検を実施し、395カ所で漏水の疑いを検知した。詳しく調べると78カ所で実際に問題が見つかり、早期の修繕につながったという。ジャパン社の担当者は「広範囲をまとめて調べられる」と利点を説明。長野県の担当者は「安全で安心で安価な水を供給できるよう取り組む」と強調した。