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強い揺れ 年始直撃 石川震度7 祈る無事、悲痛な叫び 必死の捜索、見守る住民


強い揺れ 年始直撃 石川震度7 祈る無事、悲痛な叫び 必死の捜索、見守る住民 地震発生後、市街地に押し寄せる津波=1日午後4時44分、石川県珠洲市(北國新聞社提供)
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 家族が集う元日の夕方を強い揺れが襲った。最大震度7を観測した能登半島地震は2日、倒壊した建物が広がり、多数の死者が判明した。道路が寸断された中、救助要請が相次ぎ、懸命の活動が続く。停電や断水が起き、避難を余儀なくされた住民らは不安を募らせる。東日本大震災以来の大津波警報が発令され、津波被害を受けたとみられるところも。新幹線は一時全線ストップし、帰省や観光に影響が出た。 (1面に関連)
 能登半島地震では、震度7を記録した石川県を中心に大きな被害が出た。壊れた住宅の捜索を見守る姿がみられ、身近な人を失った悲痛な叫びが響く。火災現場には白煙や焦げた臭いが漂った。住民らの避難も続いた。
 多数の家屋が倒壊した輪島市。1階部分が完全につぶれたり、傾いたりした住宅があちらこちらにあり、折り重なるように倒れた住宅も。逃げ遅れた人がいないか、警察官らが建物内を捜索し、その姿を祈るように見守る人々の姿があった。
 中心部ではビルが倒壊し、近くの建物を押しつぶした。その建物から見つかった人が畳に横たえられ、毛布がかけられた。2人がかりで畳を運ぶ。「誰も助けられなかった」。傍らで男性が叫んだ。
 観光名所「輪島朝市」周辺で発生した火災は消火活動が難航したとみられ、約200棟を焼いた。焼け野原となった現場では電柱が倒れ、そこかしこで垂れ下がった電線が。建物だけでなく、車も真っ黒焦げの状態で、発生から一夜が明けた2日も至る所で白煙が上がり、焦げた臭いが立ちこめた。
 焼け跡に立っていた男性は、知人とみられる人から「何か手伝うことはあるか」と声をかけられると、「この通り、何もなくなっちゃった」と力なく答えた。
 能登半島では各地で道路が寸断され、自治体は被害の全体像を把握できていない。珠洲市や能登町では津波で壊れたとみられる建物も。珠洲市役所では女性職員が「被害が大き過ぎて、まとめきれない」と憔悴(しょうすい)した様子だった。断水や停電が起き、志賀町役場では水の配布に住民が長蛇の列を作った。
 被災者は避難所や車中泊で眠れぬ夜を過ごした。輪島市に帰省中だった東京都武蔵野市の飲食店従業員酒井郷史さん(42)は、車で能登空港に妹を迎えに行く途中で被災した。目の前で道路に亀裂ができ、空港にはたどり着いたがそのまま駐車場で車中泊に。「経験したことのない怖さだった。このまま車中泊が続くと燃料が不安だ」とこぼした。

地震の影響で斜面が崩落した住宅地=2日午前8時2分、金沢市(共同通信社ヘリから)
地震発生後、市街地に押し寄せる津波=1日午後4時44分、石川県珠洲市(北國新聞社提供)