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旧長崎医科大の被爆遺構か 研究所予定地で発掘、調査へ


旧長崎医科大の被爆遺構か 研究所予定地で発掘、調査へ 旧長崎医科大の建物跡とみられる遺構を調べる関係者=1月、長崎市
この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 長崎大は7日までに、原爆で被災した旧長崎医科大(長崎大医学部の前身)の建物跡とみられる遺構が発掘されたと明らかにした。長崎市によると、木造中心だった校舎はほぼ全て倒壊、焼失しており、現存する遺構は国指定史跡の旧門柱などわずか。被爆の惨状を探る新たな資料となる可能性があり、大学側が出土品の調査を進めていく。
 同大によると、医学部の入る坂本キャンパス(長崎市)で昨年10月、新設する感染症研究施設の予定地を試掘した際、深さ約60センチの地中から建物の土間とみられるコンクリートの遺構が見つかった。戦後、建物を建てた記録はなく、被爆前の地図と照らし、生化学教室の跡である可能性が高い。一帯を掘り起こした結果、遺構は約580平方メートルで、他にれんがや瓦
の破片なども見つかった。
 大学は発掘を踏まえ、研究施設の建設工事を中断中。2月末まで遺物の収集を行った上で、調査を進めるとしている。
 旧医大は爆心地から約600メートルに位置し、市や大学の資料によると原爆で鉄筋コンクリート造の一部を除き、建物は全壊。付属病院を含めて約900人が犠牲になった。