有料

監視委助言根拠に疑問 研究者 「お墨付き与えるだけ」


この記事を書いた人 Avatar photo 琉球新報朝刊

 15日のサンゴ移植訴訟で県が敗訴した。大浦湾のサンゴ移植が今後進めばさらに自然環境が破壊されるのでは―。大浦湾の生態系やサンゴに詳しい研究者からは判決に対して懸念の声が上がった。
 高裁が出した判決文には、沖縄防衛局のサンゴ採捕許可申請が、環境影響評価(アセスメント)に基づく環境保全措置の目的で行われており、許可基準に適合すると記された。保全措置は、造礁サンゴ類の「移植技術の向上を図るもの」で試験研究を目的としていた。
 これに対し、日本自然保護協会主任の安部真理子さん(海洋環境学)は「サンゴが生きるか死ぬか分からないけどやってみようという試験研究ではなく、生かすための本番であるべきだ」と指摘。移植サンゴが死んだことにも触れ「これまで移植された4万群体はどうだったのか。問いかけがあっても良いのでは。(判決が)公平性を欠いている」と話した。
 また判決では、沖縄防衛局によるサンゴ移植について、環境監視等委員会の助言を受けていることを根拠とする文言が並んだ。「委員にサンゴ移植を経験した研究者はおらず、それ以外に根拠とするものがないことを示しており、まさにお墨付きを与えるだけの委員会だ」と問題視した。
 (慶田城七瀬)