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対馬丸 悲劇歌い継ぐ 「海のトランペット」公演


対馬丸 悲劇歌い継ぐ 「海のトランペット」公演 混声合唱組曲「海のトランペット~対馬丸の子どもたち」を披露する出演者=25日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホール
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 対馬丸撃沈から80年を迎え、悲劇を歌い継ぐ混声合唱組曲「海のトランペット~対馬丸の子どもたち」(車木蓉子作詞、池辺晋一郎作曲)の沖縄公演が25日、浦添市のアイム・ユニバースてだこホール大ホールで開かれた。県内の合唱団から62人で編成された「海のトランペット」沖縄合唱団と、1989年の初演から同曲を歌い継ぐ神戸市役所センター合唱団、対馬丸記念館を拠点に活動するつしま丸児童合唱団の総勢120人が、鎮魂の願いを込めて歌い上げた。主催は沖縄のうたごえ協議会。
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 同組曲は対馬丸が神戸港からも出航したことを知った詩人の故車木蓉子さんが作詞した。作曲した池辺晋一郎さんは、神戸市役所センター合唱団の田中嘉治団長と対談し、タイトルの「海のトランペット」には、歌詞にはないが、海の底に沈んでしまった子どもたちの苦しみや声などを表現したものだと振り返った。池辺さんは「音楽は、戦争を次の世代に繰り返さないための教訓として残す、一つの手だてだと考える」と強調した。
 公演を訪れた伊波宏俊さん(84)=うるま市石川=は湖南丸事件で姉を亡くした。「歌詞にも出てきたが、護衛艦が逃げていった。対馬丸の疎開をもっと伝え、(戦争をしないために)がんばる」と話した。
 神戸市役所センター合唱団は「鎮魂と希望の日コンサート」と題して、事件のあった同日の8月22日にも神戸市内で同組曲を演奏した。(田中芳)